野尻抱介『太陽の簒奪者』

太陽の簒奪者 (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)

太陽の簒奪者 (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)

 野尻抱介の文章のすごさについて - Togetterまとめを読んで、読み返したくなったので、腐海の底から召還。このサイズの小説は、きちんと置き場所を確保していないので、時々の都合で変なところに行ってしまって困る。なるべく文庫しか買わないようにしている今日この頃。
 突然、水星が変貌、ナノマシンによるリングが形成。太陽の日射を奪われて、存亡の淵に追い込まれる人類というところから始まる、ファーストコンタクトもの。白石亜紀の一代記でもある。そういえば、なにげない、しかし、実は劇的な出来事から始まるってのは、野尻作品では良くあるパターンだな。クレギオンしかり、『ふわふわの泉』しかり、本書しかり。
 しかし、実際の生命活動はナノマシンに任せて、本体は取りとめもなく思索三昧って、確かに至福といえば至福だよなあ。それが無限に拡大を狙うとなると、はた迷惑も極まるけど。