関幸彦『その後の東国武士団:源平合戦以後』

その後の東国武士団: 源平合戦以後 (歴史文化ライブラリー)

その後の東国武士団: 源平合戦以後 (歴史文化ライブラリー)

 タイトルの通り、関東の武士団が、中世の始まりである12世紀の初頭から、戦国大名北条氏が台頭して政治構造が完全に変わる15世紀末までの期間、どのような動きをしたのかを紹介している。常陸、下野、上野、相模、武蔵、上総、下総、安房、伊豆、甲斐の主要武士団を取り上げているだけに、全体としては簡単な記述に。前半1/3程度が通史で、残りは個別武士団の動き。
 関東方面の土地勘とか、歴史的な流れをよく知らないので、わかったようでわからないところもあるが、楽しく読んだ。鎌倉幕府開府から、室町時代鎌倉公方が滅ぶまで、鎌倉を中心とした地域王権「鎌倉体制」が継続すること。この中で、南北朝や15世紀の政変が、その後の武士団の動向を左右したと。しかし、こうやって、全体的に見渡すと、鎌倉初期の有力御家人って、その後活躍していないような気がする。上総介氏とか、千葉氏とか、常陸大掾氏みたいな、いかにも古代からの名族って、ぱっとしない感じが。あらかたの武士団が、結局は北条氏に飲み込まれてしまう感じなのかね。
 あと、誰々が継いだよりも、武士団の構造がどうなっていたかというのが重要な気がする。