植木武「アメリカ理論考古学と日本実証考古学:理論vs.事実」『考古学ジャーナル』No.529、2005

 アメリカの考古学に関する理論的潮流の話。統計などの遺物の数的分析を重視するサイエンス志向、生態学・人口学・経済などの「適応」を重視するプロセス考古学が60年代以降、流行。それに対して、シンボルなど「観念」を重視するポストプロセス派が、反作用として出現。どちらも、同様に重要な要素を扱っている感じだなあ。中庸が強そうだけど、なんか、宗教論争になっているのだろうなあ。英米社会学や人文学を数理的にやろうとする意識は非常に強いし。
 日本の編年重視・理論嫌いは確かに、他分野への発展性を欠くが、アメリカの理論志向も業績稼ぎの生煮え理論研究が横行しそうな感じだなあ。
 あと、日本では、行政発掘が盛んで、いわば仕事としての考古学が確立していることも背景にありそう。