「世界発2012:日本国憲法 今も最先端:米法学者ら 188カ国を分析」『朝日新聞』2012/5/3

 最古の憲法となるアメリカのものが、既に時代遅れと。女性の権利、移動の自由、教育や労働組合の権利など新しい権利が適宜、付け加えられていっているが、アメリカの憲法は、そのような新しい権利が導入されていない。一方、武装の権利という、他では消滅寸前の権利が後生大事に維持されている。そもそも、ゲリマンダーみたいな選挙区設定ができるような国の憲法がまともなわけがないんだ。中世の「自由」の概念を引きずりすぎて、21世紀の国家像と齟齬を来たしまくっている。
 モデルになりうるケースとしては、カナダ、ドイツ、南アフリカ、インドあたりが、改廃を繰り返して、ちょうど良いと。とはいえ、どんなに憲法が良くても、運用する社会が大事というのは、後二者を見ると、つくづく思うな。


 日本国憲法は、改正されず手つかずだった期間が異例に長い憲法。導入当時は最先端で、現在でも主流の権利のほとんどが満たされている、必要充分な憲法であること。結局のところ、深刻に変える必要性がなかったからこその、長生きなんだな。
 一方で、憲法で保障された権利が、実際に運用段階では満たしきれていないのが課題である、と。そういう意味では、改憲よりも、まずは憲法に沿った制度構築が大事と。


「日本の憲法が変わらずにきた最大の理由は、国民の自主的な支持が強固だったから。経済発展と平和の維持に貢献してきた成功モデル。それをあえて変更する政争の道を選ばなかったのは、日本人の賢明さではないでしょうか」というデービッド・ロー教授の指摘が重い。実際、政争だしなあ、改憲議論。