今年も意外と読めていない。夏場の暑さと秋からのリフォームの準備で、後半に入って、大失速。
日本史本が大混戦。中世史の本が大量に重なったあげく、ばっさりと選外に。それ以外は、割とすんなり決まったかな。
- 10位 岩瀬博太郎『死体は今日も泣いている:日本の「死因」はウソだらけ』
死体は今日も泣いている 日本の「死因」はウソだらけ (光文社新書)
- 作者: 岩瀬博太郎
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2014/12/11
- メディア: 新書
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毒殺が見逃されていて、シリアルキラーになっちゃう事例が近年何件かでてきたり。パロマの湯沸かし器の欠陥の犠牲者が、分からないほどとか。死因究明をおざなりにすると、死体が死体を呼ぶ。
- 9位 田中淳夫『鹿と日本人:野生との共生1000年の知恵』
- 作者: 田中淳夫
- 出版社/メーカー: 築地書館
- 発売日: 2018/07/02
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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あとは、「食べて減らす」が難しいこと。食用として流通させようとすると、安定供給を求められる。
- 8位 高野幸司『石造仁王像』
- 作者: 〓野幸司
- 出版社/メーカー: 青娥書房
- 発売日: 2018/01/22
- メディア: 単行本
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鹿児島や国東半島が、石造仁王像文化の中心。刻銘から見られる、石工の情報も興味深い。
- 作者: 出水伯明,深田サルベージ建設株式会社協力
- 出版社/メーカー: 洋泉社
- 発売日: 2017/10/26
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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吊り下げ作業のルポ、深田サルベージの歴史、船内の生活。これだけの大きな船だと、なんだかんだ言って、船内生活が長くなるのだな。
- 6位 金菱清編『呼び覚まされる霊性の震災学:3.11 生と死のはざまで』
- 作者: 金菱清(ゼミナール)
- 出版社/メーカー: 新曜社
- 発売日: 2016/01/31
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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- 5位 高橋敏『一茶の相続争い:北国街道柏原宿訴訟始末』
- 作者: 高橋敏
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2017/08/23
- メディア: 新書
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いや、一茶の、村落社会できちんと地位を得たい、家を残したいという執念が印象的。柏原宿近辺の一茶の弟子ネットワークとか、柏原宿内では爪弾きにされて弟子がいなかったとか、子孫を残す一念とか。これはこれで、人間らしいというか。
一方で、村落と地域社会を差配した、本陣の中村家などが、どのように村社会を導いたのかの記述が活き活きしている。塩輸送をめぐる周辺集落との訴訟。一茶の異母弟弥兵衛のその後の農地集積など。地域社会の姿が興味深い。
- 4位 桃崎有一郎『武士の起源を解きあかす:混血する古代、創発される中世』
武士の起源を解きあかす――混血する古代、創発される中世 (ちくま新書)
- 作者: 桃崎有一郎
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2018/11/06
- メディア: 新書
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武士がどのように出現してのかを追いかけた、力作。儒教の「礼の秩序」と絡めてきたところが興味深い。騎射という戦闘技術が、儒教の影響下に、日本でも普及した。また、増えすぎた王臣子孫を、郡司などの地域有力者層が取り込んで、武家の元が出現。そこから、王権が、有望家系をピックアップしていったという流れ。在地有力者層の粘り強さが印象的。
一方で、史料的制約から地域社会がブラックボックスになっていること。あるいは、九州など西国の武士勢力の記述の欠如で、ここに。
- 3位 古峰文三『「砲兵」から見た世界大戦:機動戦は戦いを変えたか』
- 作者: 古峰文三
- 出版社/メーカー: パンダ・パブリッシング
- 発売日: 2017/02/21
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第一次大戦から第二次大戦における、火力戦の歴史。
第一次世界大戦では、機関銃と防御陣地により、歩兵の突撃は力を失った。両軍とも、火力戦によって、敵の機動を拘束することで、陣地帯の突破を可能にする。しかし、火力戦には、高価な砲兵、大規模な組織、湯水のような弾薬消費が必要であることが嫌われ、戦間期には、ノウハウが失われてしまう。
第二次世界大戦で、どのように火力戦の体制を整えていくかの戦い。機動戦の本家ドイツに、連合国側は苦労していた。また、ドイツ軍も火力戦ドクトリンへの転換を志向していた。一方で、ソ連は一貫して、火力戦ドクトリンを保持、拡大。これが、バグラチオン作戦での、ドイツ軍の崩壊に結実と。
大惨事と情報隠蔽: 原発事故、大規模リコールから金融崩壊まで
- 作者: ドミトリチェルノフ,ディディエソネット,橘明美,坂田雪子
- 出版社/メーカー: 草思社
- 発売日: 2017/08/22
- メディア: 単行本
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これを読んだ後に、スルガ銀行のシェアハウス投資問題は、まさに、ミニサブプライムローンだよなあ。成果主義に尻をたたかれて、信用力が怪しい顧客にまで貸し込んだあたり。
危険情報をスムーズに流通させるには、非常に大きなコストがかかる。
日本、アメリカ、ソ連の原発事故に見られる「国家主義的なおごり」も印象的。結局、同じような問題を、他所から学ばず、巨大事故を起こす。
- 1位 平井上総『兵農分離はあったのか』
- 作者: 平井上総
- 出版社/メーカー: 平凡社
- 発売日: 2017/09/27
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意識的に出された身分法令は、百姓の帯刀禁止程度である、と。
以下、次点:
日経コンストラクション編『インフラ事故:笹子だけではない老朽化の災禍』asin:4822274756
川上和人『鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。』asin:4103509112
宇佐美昇三『信濃丸の知られざる生涯』asin:4303634417
倉本一宏『藤原氏:権力中枢の一族』asin:4121024648
桃崎有一郎『平安京はいらなかった:古代の夢を喰らう中世』asin:4642058389
青木敬『土木技術の古代史』asin:4642058532
熊本日日新聞社編『加藤清正の生涯:古文書が語る実像』asin:4877554637
菊地浩之『織田家臣団の謎』asin:4047036390
深谷幸治『織田信長と戦国の村:天下統一のための近江支配』asin:4642058575
新見志郎『軍艦と砲塔:砲煙の陰に秘められた高度な機能と流麗なスタイル』asin:4769830939