松智洋/Story Works『メルヘン・メドヘン』

メルヘン・メドヘン 1 (ダッシュエックス文庫)

メルヘン・メドヘン 1 (ダッシュエックス文庫)

 ぼっち体質で、何かあると、物語の世界に逃げ込んでいた主人公は、ある日、「魔女」を追って、「魔法の学園」に迷い込んでしまう。そこで、強力な「原書」と契約していることを知らされ、流されるままに諸国の魔法学園対抗で行われる魔法戦「ヘクセンナハト」に身を投じることになる。
 正直、終盤に入るまで、主人公鍵村葉月の妄想癖や中二病についていけず、途中でやめようと思っていた。しかし、「終章」末の葉月の姉の「あんたの読んでる本に、あんたのことは一つも書いてないってこと!」の一言から、ヘクセンナハトの対戦に乱入、「自分の物語」である「シンデレラは振り向かない」に原書を書き換えてしまうところは、熱かったな。一気の読んでしまった。
 そう、物語に耽溺するのは楽しいけど、結局、自分の体もままならないんだよねえ。葉月は主人公として、それを書き換えてしまったけど。