春日歩『城下町のダンデライオン 5』

 とりあえず、一区切りの模様。「アンジェリカ」編ラスト。
 記憶と引き換えに、壊れたものを修理する異能か。事故から父親の命を守ったことと引き換えに母親の記憶を失ったことから、父王は、そのようなことがないように突き放すようになる。失うくらいなら、最初からという思考はよく分かる。
 失われたものは、二度と戻ってこないからこそ、哀切さがあるわけだが、割とあっさり取り戻している感はあるなあ。とはいえ、そこを徹底的に突き詰めると、物語強度が上がりすぎて、私自身が受け止めきれないだろうなあ。


 櫻田家にホームステイに来ているアンジェリカの、暴走生活w
 茜が大学の研修に一週間家を空けることになったら、ものすごい勢いで奇行に走る茜ジャンキーのアンジェリカさん。あとは、文化祭でアンジェリカ主役の劇をめぐるすったもんだ。そして、劇が形になったところで、今度は父親が病に倒れたという知らせを受けて緊急帰国することに。そこで、父親の「修復」を試みて、茜の記憶を失う事になる…
 守ろうとして傷つけてしまう。そして、そこからの救い。