熊本県立美術館細川コレクション展示室「勇姫:幕末維新期を生きた細川家のお姫さま」

 もう、3日も前の記事になってしまうが…
 別棟細川コレクション展示室で開催されている展示。永青文庫越前松平家の史料をジョイントしての展示。細川斉護の娘で、越前の松平春嶽と結婚した勇姫についての展示。


 細川家のお姫さまともなると、生まれる前から記録が残っているのだな。母親の懐妊にともなう、さまざまな儀礼。生まれてからもいろいろな儀礼が行われ、健やかに育つように願われる。8歳の時に天然痘にかかったときも一件書類が残されている。
 越前松平家と婚約が行われていたが、疱瘡のあばたで、いったんは辞退する。しかし、松平春嶽は、いったん約束したからにはと強く求めて結婚。しかし、結婚して半年ほどしたところで、勇姫と松平家の女中の対立などがあって、離婚騒動発生。この解決に半年ほど、細川家と越前松平家がすったもんだしていたり。奥の人間関係は難しいのだな。
 大名の家族は、基本、江戸藩邸に住んでいるから、結婚も江戸で完結してしまうのだな。特に、細川家と越前松平家上屋敷は、大名小路にあるご近所さんだから、婚礼行列も800メートルほどという。
 明治に入ってから撮られた写真が何点か残っているけど、写真を見る限り、あばたが目立つ感じはないなあ。解像度や化粧なんかも影響しているだろうけど。近代に入っても、華族の奥方として生きたお姫さま。


 文書の他は、勇姫の嫁入り道具や衣類など。
 嫁入り道具は、数セットあって、日常で使う調度品、儀礼に飾る調度でほとんど使用痕がないものなど、いろいろとあるようだ。長持が数十箱、ほかにもさまざまな道具類と、大名家のお姫さまの嫁入りは、ものすごいマンパワーを必要とする。こういうの、道具類の輸送の手配とか、だれが運んだかとかも興味があるな。
 あとは、勇姫の衣類が目立つ。前後期入れ替えで2着ずつ展示。単衣 白絹縮地藤桜牡丹紗綾形模様は全体に刺繍で模様が入れてあって、すごかった。