『世界の艦船』2021/3号

世界の艦船 2021年 3月号

世界の艦船 2021年 3月号

 特集は世界の空母。そろそろ、新世代の空母も出そろってきたので、回顧的な特集に。空母と艦載機の歴史、現代空母のメカニズム、米空母の乗員とその任務、私のベスト3といった記事が並ぶ。
 個人的には、柿谷哲也「米空母の乗員とその任務」がおもしろい。空母には、固有の乗員以外にも、空母打撃群の司令部、水上戦闘艦の司令部、空母航空団と同居。特に、航空団とは、格納庫、飛行甲板で入り乱れて活動する航空科。作戦科、戦闘システム科、エンジニアリング科、管理科、原子炉科、航海科、デッキ科、医科、歯科、グラフィックメディア科、法務科、訓練科、補給科などに分れるという。人数に大きな差がありそう。グラフィックメディア科が興味深いな。艦内放送や印刷所、広報室、写真処理室を運営というのは、5000人からが乗り組む大型艦ならではって感じだな。いろいろと職務の重複がありそうだけど。


 私のベスト3は、香田洋二、岡部いさく、野木恵一の三者が選んでいる。最後の野木氏のアーガス、フォレスタル、インヴィンシブルのチョイスが、プレーンにエポックメイキングな艦を選んでる感じだな。岡部氏のチョイスや香田氏の隼鷹は趣味に走っている感が。それも楽しい。


 いつも思うのだが、蒸汽カタパルトってなかなか無茶なシステムだよなあ。シリンダーに切れ目入れて、そこ経由でスライダーを動かすんだから。単純にピストンにバーをつけて押し出すなら、もっと簡単にできそうだけど、艦内スペースが単純に倍になるから、難しいのだろうな。発展史も興味深い。そもそも、軍縮条約の時期には、1万トン、25ノットくらいの船で十分だったのが、馬鹿でかい巡洋戦艦改造空母が、条約という外部的要因で大量に出現する。それらが、逆に試行錯誤と運用の概念を蓄積することになる。最強の軍艦である空母も極音速ミサイルなどに脅かされる時代。というか、根本的に地球というスペースに軍事兵器が入りきれなくなってきている感が。




 写真関係では、最近の客船の船首デザインが気になるとこと。エメラルド・アッズーラ、それいゆと最近は船首が垂直になってる船が増えているのが気になる。ヴァイキング・オクタンティスに至っては、なんか衝角みたいになってるし。やっぱり、鋭角にシュッと突き出ている方がかっこいいと思うのだが。
 あと、河川モニター、サモスがいいですね。


 多田智彦「現代の艦載兵器:第15回:砲弾/銃弾」は、タイトルの通り、最新の砲弾事情。誘導砲弾、開発中止のニュースしか知らなかったけど、けっこう、実用化に向けて開発が進みつつあるのだな。アメリカの多用途標準誘導砲弾やエクスカリバー、オルカなど。イタリアのヴルカノシリーズ、日本や中国で開発中のものなど。対地・対艦用に射程を伸ばしたり、精密誘導を行うものと、対空用に命中率や破壊力を上昇させたタイプの両面で行われているようだ。そういえば、誘導はどうするんだろう。GPS誘導は、もう、ほぼ妨害されるのが確定のようだけど。
 後は、信管の性能を高めて、多用途に使える砲弾とか、ロシアのプラスチック系素材利用とか、様々な方向が模索されているようだ。
 しかし、対空ミサイルって、RAMで1億円、ESSMで2億円って、お金が吹っ飛んでいくなあ。