伊都工平『モノケロスの魔杖は穿つ』

 やはり、背景のギミックがおもしろいなあ。現代社会そっくりなんだけど、魔術的に国が構成され、竜が国連軍な世界。しかし、東京が魔術結社に襲撃され、消失。同時に、国家を構成する魔術装置が破綻し、日本は無数の小国に分裂しつつ、魔術的に日常を維持していた。


 平和な生活を営む立木寬は、ある日、となりのクラスの真名辺麻奈が変な男と揉めているところに遭遇したところから、魔術的な闘争の世界に踏み込んでいくことになる。というか、最初から鏡像国家の王様・囚人候補であるわけだけど。


 で、16歳の誕生日の「約束」。それは「鏡像国家」テスカトリポカの後継者になる事だった。しかし、その鏡像国家の支配者の精神状況から、鏡像国家は分裂し、ヒロを守ろうとする側と殺害しようとする側に分れて相争うことになった。その争いの中で、最終的にはテスカトリポカの「王」セリシアを救い出し、王、魔術師、騎士、司祭が揃った「国家」を作り出すことになる。
 と同時に、「神器」カドゥケウスが顕現、一気にテスカトリポカを破壊することになる。


 小さな、しかし強力な国家がこれから大きな役割を果たしていくことになる。