熊本県立美術館別棟展示室「雅:細川家の歴史と美」

 こちらは別棟、細川コレクション展示室の企画展。
 美術館のサイトに、状況によっては入館制限するかもという記述があったので警戒していたけど、あまり人が入っていく感じではなかったで、時間調整に入ってみることに。歌仙兼定が展示ということで、わさわさ人が入りまくってるかと思ったが、そんなこともなかったな。


 展示室の一室目は、細川家伝来の武具類、女性の婚礼装束・調度を展示。黒糸威横引二枚胴具足と紅糸威胴丸鎧、益姫の婚礼道具類は、よく見かける展示品。わりと出ずっぱりだよなあ。特に、吉例の具足たる前者は、細川家の武具の歴史のなかで欠くことのできない存在だし。
 護久夫人宏子着用の打掛と小袖が、全面に染に刺繍で装飾されていて、豪華。あまり使われた様子はないので、晴れの着物で、普段着ではないようだが。
 目新しいものとしては、肥後鐔に根付が出品されている。根付、さすがにお殿様が持ってるようなのは、細工が細かいなあ。「筍内に仙人」とか、どうやって細工したんだろうかという。


 第二室は、細川家伝来の茶道具とそれに関連する忠興書状。朝鮮王朝時代の朝鮮陶磁器とか、元代の中国陶器がけっこうあるのは、室町時代以来の伝統って事なのかね。茶道を知らない人間にはいまいち分からないところがあるが、渋さがいいよなあ。
 あとは、忠興書状の「茶器の鑑定は簡単」みたいな物言いがらしいなあ。というか、海原雄山味があるなあ。


 展示の目玉は、忠興の愛刀、歌仙兼定の展示。

 手討ちにした人数が36人だから、三十六歌仙にちなんで歌仙とつけたという、かなりいわく付きの刀にしては、細身で短いのだな。イメージからして、もっと、こう、頑丈そうな刀かと思えば。まあ、鎧武者対象の戦場に持ち出す刀よりも、普段使いに便利そうではあるが…
 ウィキペディアの忠興の項目によれば、片山伯耆流居合術に適する刀を工夫したそうだが、この刀もそういう工夫の延長線なのだろうか。
 手討ちのエピソード、京都あたりでやったのかと思ったら、八代でのお話なのね。切った人数も6人か、36人か不詳であったり。累計じゃないのね。その割に、実際、何が起きたかは明確でないけど。