無資格者のエレベータ点検

http://youzo.cocolog-nifty.com/data/2007/03/post_158c.html

先日、どこかのテレビ局の社会評論の番組でこんな事を述べていました。


自由競争社会にすることで、価格競争になって耐えられない企業は市場から退場するから、結果的に適正価格の市場が形成されると期待していたのだが、日本の企業はほとんど退場しない価格割れでも品質を落としてでも市場にしがみつく。
この結果として適正価格を大幅に割り込んで安全性などを無視しするところまでコストダウンしても良いという風に変わってしまった。
自由競争で健全な市場が形成されなかった。


これは一面では正しいでしょうね。

この「自由競争社会」で「市場から退場」というのは、現実に基づいた議論なのか常々疑問に思っている。経済学の論理に基づく理念的な仮定なのではないのか。人間、今までやってきたことをホイホイ変えるような生き物ではない。保守的な存在だ。出口がきっちり保障されていなければ、今までの行動に執着し続けるだろう。
海外の事故事例などを観察する限り、「適正価格を大幅に割り込んで安全性などを無視しするところまでコストダウン」する企業などはいくらでもある。価格を指標とする限り、安全投資は余計な費用でしかない。
そもそも「自由競争で健全な市場が形成」されるなんて幻想だ。市場史の研究を見る限り、交渉と紛争の解決を通して時間をかけて形成されるものだ。


あと、リスクをとる行動が推奨される最近の動向も、なんというべきか理解しかねるものがある。基本的にリスクをとる行動は、不安定性がつき物であろう。それは、資本主義・市場経済が必要とする「信用の体系」を不在化させる行動で、原理的に衝突するものではないだろうか。