野村進『調べる技術・書く技術』

調べる技術・書く技術 (講談社現代新書 1940)

調べる技術・書く技術 (講談社現代新書 1940)

 ノンフィクション・ライティング入門といった感じの本。具体的なアドバイスは、このような表現を志す人間には、資するところがあるだろうな。「人」から直接、情報を得て、それを表現していく技法の紹介。
 興味深かったのが、127ページ以下の原稿を向かうための心得。プロが原稿に向かうためにどのようなことをしているかが、いくつか紹介されている。渡辺昇一の『知的生活の方法』でも言及されていたが、人が原稿に向かう、なにかに書くというのは、相当敷居が高いことのようだ。今書いているようなメモレベルでも、しばらくサボると、書くのに相当な手間がかかる。
 本書では著者の作品を含め、いくつかのノンフィクションが紹介されているが、これがなかなかに魅力的。なんというか、作品を書かせることよりも、ノンフィクションに読書を誘う力のほうが強いのではないかとすら思う。参考文献にいくつも紹介されているので、いくつか選んでみてもいいかもしれない。