COMPLEX CAT : 風車と翼

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 風力発電用の風車とバードストライクの問題。ワイズマンの『人類が消えた世界』asin:4152089180でも、膨大な数の鳥類が、高層建築物にあたって死んでいるというのが指摘されていたな。そう言えば、九州国立博物館では、ガラスに映った森を誤認して、ぶつかって死ぬ鳥が結構多いらしい。
 個別には影響の小さい施設も、多数設置されれば、生態系全体に大きな影響を与えること。奄美大島の林道のアセスの話が興味深い。
 風力発電所が鳥類に与える影響に関して、ヨーロッパを中心にさまざまな調査が紹介されている。繁殖率を指標に比較検討する方向性が紹介されている。なかなか実際に影響を検出するのが難しいという。このあたり、放射能の健康への影響とも通じる感じだな。


 しかし、「生物多様性保護が人々の生存権と密接であるという認識」がない人が多いのか…

・何故,生物多様性保護に国家安全保障が絡むのかと,コジツケだと思っている人も普通だと思う。巨大で精緻な装置に動き続けてもらうための担保措置なのだが、その流れに干渉する行為の影響について無知であれば,近海の海洋資源など、そのうち人の口には入るものは先細りになるであろうリスクを冒すことになる。
・遺伝的多様性は,進化的なタイムスケールでテストされてきた,あらゆる環境変化や個体群にかかるリスクをヘッジする担保。人間が好きに選んでそれと同じ既製品を大量に作っておけば,大丈夫という箱船ショーケースカタログ世界では意味が無いことを示している。
・ただでさえ、中国などが大きな胃袋を満たすために経済という武器をそろえ,海洋に淡白資源資源を求めるようになってしまった今,『過度の搾取』に対するコントロールは日本がやりたい放題やっていた時代より、更に困難になって行く。それを止める理屈を日本自身が理解していない。海洋資源枯渇は石油よりは確実に早く来る。
 オレ、コンビニの飯で十分だよ、足りなくなったら海外から買えば良いよと思っている人達は,それらを作り出すための源をたどると、実は農地や工場がスタート地点ではないことは知っていた方が良いと思う。