矢田部英正『日本人の坐り方』集英社新書

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 メモ。興味深い。「正座」が現在の形になったのは比較的最近のことで、多様な坐り方があった。それが近代化の過程で現在の「正座」のみが正しい坐り方として強要されるようになったという。茶の湯もかつては安座が可能であったとか。

日本の伝統文化の継承をしている(つもりの)人が実はもっとも極端な形で近代国家の統治イデオロギーのブースター役を果たしてしまっている、という逆説は「正座」の偶像崇拝に限らず日本社会のあちこちに見られるのだろうと思う。仏教に関しても同じような検証は必要と思う。

 これはよくあるパターンだな。日本の「伝統」がせいぜい100年程度の期間のものでしかない、明治維新後に創作されたものが多いという状況。だから、「保守主義者」の「伝統」という言説には眉に唾をつけてしまう。本当の「伝統」に従うなら、靖国神社やその背景の国家神道は偽物だしな。