青山潤『アフリカにょろり旅』

アフリカにょろり旅

アフリカにょろり旅

 アフリカに生息するウナギの一種ラビアータを求めて、著者と、その先生である塚本勝巳教授、学生の渡辺俊の三氏が、マラウイモザンビーク、ジンバブウェをさまよう紀行。いきなりしょっぱなから、コソ泥の私刑シーンから始まるのが衝撃。交通状況とか衛生、食事などの違いがこれでもかこれでもかと描かれる。
 前半はサクサクと読めるのだが、後半、著者たちの体調の悪化と並行するように読む方のテンションも落ちていく感じ。帰国直前の、標本を充分な数量確保するための待ちぼうけのところとか、読むのがつらい。おかげで、意外に時間がかかってしまった。
 アフリカでフィールド調査って大変なんだなとしか言いようのない。まあ、人跡未踏の場所だと、もっと大変なんだろうけど、その場合は自然との闘いで、こちらはアフリカの社会と日本の社会の違いの間で苦闘するって感じだな。


ジセダイ教官、初の理系の先生として、 東京大学大気海洋研究所"ウナギチーム"の青山潤先生が登場!【前編】 - ザ・ジセダイ教官 知は最高学府にある | ジセダイ
東京大学大気海洋研究所"ウナギチーム"の青山潤先生に聞く! えっ、「ウナギが絶滅の危機」だって!?【後編】 - ザ・ジセダイ教官 知は最高学府にある | ジセダイ
 こちらは著者へのインタビュー。『にょろり旅』がどうやってできたのかとか、帰ってから研究室でやることなど。あとは、新種の成体をフィリピンに探し求めた、『うなドン』の話とか。後編は今話題のウナギの資源量の問題とか、自前の研究船で海洋大学みたいなのをやりたいって話とか。新品の調査船はそう簡単に金が集まらないだろう…