書物における明治二十年問題/橋口侯之介

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続「書物における明治二十年問題/橋口 侯之介
 うーん、レイアウト的に複数ページであるのが分かりにくい。
 しかしまあ、和本から洋本への変化の歴史を見ると、結局のところ現在の図書流通システムの外側に電子書籍生産システムが出現して、既存業界は伝統芸能的に細々と生き残るしかないってことになりそうな。ものが大量生産だけに、衰退によって失われる技術は多いのだろうが。
 近代に入ってからの書物流通の分業の流れも興味深い。新本・古本・出版を一つの店で行っていたのが、検閲や組合、古物取引規制などの制度的変化によって分離していく過程。新本の洋本化・大量生産による企業化。それが江戸期の著者・販売者・読者を包含する読書文化コミュニティを解体していく状況。
 続の方の、古書価格の暴落や和本のメディアとしての性質も興味深い。流通が分業化していなかったことによるコミュニティ性や書き込み・伝来などの過程を通して「成長」していく個体性など。