山本弘/グループSNE『モンスターたちの交響曲:ソード・ワールドRPGリプレイ集2』

 腐海の底から召喚、その11。
 「スチャラカ冒険隊」リプレイシリーズ2巻。「モンスターを倒す」事の意味を問うと同時に、ファリスの神官を偏狭な正義を振り回す悪役に転落させた、このシリーズの白眉。
 モンスター孤児院の素朴な子供モンスターたちと「危険かもしれない」ということで討伐にくるリファールのファリス神官たちの対比が印象的。まあ、ファリスの神官たちも武器を捨てて、詰め寄るアリシアンに手を上げることができず、結局説得されて孤児院運営に参画するあたり、それほど悪い人ではないって感じだけど。
 あと、ほのぼのした雰囲気の割に、モンスター孤児院があるデルヴァの砦を迷宮化して守る、「デルヴァン・オーブ」入手のためにさっくりとドレックノールの盗賊ギルドを敵に回すなんて、ハードなことをやっているんだよなあ。で、暗殺者を差し向けられているわけだが。まあ、暗殺者を差し向けられるあたりは、バブリーズも一緒ではあるが。ここまで内容と雰囲気が乖離した作品も珍しいような。そして、相変わらず魔法使い連中はあんまり攻撃魔法を使わない。