- 作者: 菊地浩之
- 出版社/メーカー: 平凡社
- 発売日: 2014/02/14
- メディア: 新書
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おおよそ、地方単位に別け、最後に大名出身の華族を取り上げている。しかし、こうやって系図にまとめると、各地の資産家層が結構血縁でつながっていて、現在に至っても一流企業の役員に納まっている事例が多いのだな。兄弟に姉妹を嫁がせたり、いとこ同士での結婚がすごく目立つ。あと、大名華族、徳川・松平と島津・毛利などの大物外様大名が、明治に入って濃厚な血縁関係を維持しているのがすごいな。
以前に出した本で目立つ家系は取り上げているので、本書は小粒感があるが、逆に地方密着感が強い。全体としては、呉服商→地場デパートで存続してきた家系が多いような。あとは、地方銀行を拠点としてきた家系。ただ、こちらは戦中から戦後の金融情勢の変化の中で、徐々に支配権を失い、没落していった家系が多いように見える。あとは、北陸を中心に廻船業から海運・保険に進出した家系。一時は手を広げたが、今は醸造だけみたいな家系も多いな。醸造業ってのは、小財閥の生き残りの手段として重要なのか。
本書で名前を知っていたのは、鈴与の鈴木家、真珠の御木本家、ふとんの西川家くらいかな。あとは、地元熊本の古荘。古荘財閥は、30年代に事業を拡大したが、敗戦で海外事業や軍需産業を失い、今は衣料卸と不動産が核と。あとは大分のトキハに影響力を持ち、鶴屋の立ち上げにも関わったとか。