- 作者: 「歴史読本」編集部
- 出版社/メーカー: 新人物往来社
- 発売日: 2012/02/25
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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学術文化系の職業の人と、政治家や官僚軍人の距離が近いのが興味深い。高等教育の機会とか、高等教育を受けさせるインセンティブといった「文化資本」が重要なのかね。
こうして見ると、「文学」って、独創性や創造性が重要なのではなくて、文壇活動や人脈が重要なんだな。実際、本書に出てくる人物を調べると、大体東京で生まれ育ち、東京の大学を卒業しているんだよな。文化の流通評価機能が、東京にまとまりすぎている。
あと、役者が多く出てくるのもおもしろい。演劇と大学生の距離の近さとでも言ったらいいのかね。近代の演劇運動が、文学や大学と近しかったとも言い換えることができるか。
音楽にしろ、芸能活動にしろ、実家に余裕があれば、チャレンジしやすいしな。
華族は華族で互いに通婚しているとか、薩長閥は互いに親類関係を結んでいるんだなとか。系図を見ていると、血縁関係の持つパワーが浮かび上がってくるな。
伊藤博文や大久保利通、木戸孝允の子孫は、戦前には宮内庁や宮廷がらみの役職についているが、やはり何らかの「信頼」があったのだろうか。
ラストの天皇家、系図見ると、大正天皇の曾孫世代以降、女性ばかりなのがすごいな。あと、男性皇族に意外と子供が少ないのも印象的。何らかのブレーキがあったのか、単純につりあう相手を見つけられなかったのか、晩婚化の傾向でもあったのか。
具体例で興味深いのいくつか。
講談社の野間家が軍人家系との縁組が多いのが印象的。剣道とのからみなのだろうか。そして、片っ端から婿養子なのが。
515事件で殺害された犬養毅の子孫が共同通信の社長やったり、文筆家になったり。
オノ・ヨーコの家系もすごい。
武豊の武家が西郷隆盛と血縁だったり、一族に多数の騎手を輩出している。あとは、幸田露伴の親類とか、鶴見良行の家系とか。
ところによっては、かなり遠縁な関係を無理やり結び付けている感もあるが…