「学力調査の順位騒ぎすぎ?:岡山の教諭、都道府県別でグラフ化 ほぼ横並び 3ポイントの間にひしめく」『朝日新聞』14/6/5

 都道府県別や学校別などの成績(平均正答率)の順位が話題になることが多い全国学力調査。実際、どのくらいの差があるのか。疑問に感じた岡山市立中学校の教員が、昨年の都道府県別の成績をグラフに描いてみた。その結果は――。
 岡山市立岡山中央中学校で理科を担当する三木淳男教諭(54)。昨年8月に発表された公立校の都道府県別の成績一覧表を新聞で見て、思った。「数字だけでは都道府県ごとの違いがイメージしにくい」。そこで、都道府県別の中学国語のうち基礎知識をみるA問題の成績を一つひとつ、方眼紙に落としてみた。
 全国平均は76.4%。上位5県と下位5府県を除く37都道府県は、わずか3ポイントの間にひしめき、完成したグラフでは黒点はほぼ横並びに見えた。それでも「国語Aは差がつきにくいのかもしれない」と考え、数学A、さらには両教科の応用力を試すB問題も続けてグラフに描いてみた。
 その結果、国語Aよりばらつきはあったものの、大差はなかったという。
「わすか1ポイントの間にいくつもの県がひしめき合い、小数点以下のわずかな差で順位が変動していた」と三木教諭。そのうえで「結果に一喜一憂するより、『こう教えたら子どもが理解してくれた』『意欲的に取り組んでくれた』という地道な努力を続け、すべての子どもの学力を高めていくことが大事ではないか」と話している。
 全国学力調査は、小学6年生と中学3年生が対象。昨年は国公私立の計約219万人が参加し、公立小学校の平均正答率が全国平均より5ポイント超低い都道府県が初めてゼロになり、中学校でも数が減った。  (斉藤純江)


生徒間の格差に目向けるべきだ
 佐藤学学習院大教授(教育学)の話 多くの県はわずかな差の中におさまっている。都道府県別の結果においては、日本は平等な教育が実現していると言える。その順位に一喜一憂するのは愚かなことだ。むしろ目を向けるべきは、学校間格差や生徒間の学力格差だ。格差克服のため、どのような学校が学力向上を実現しているのかを分析し、低学力の地域や子どもたちに財源や人員を手厚くする。学力調査はそのための指標として利用すべきだ。競争による統制の手段に使っても学力向上にはつながらないだろう。

 本当に差がないんだな。むしろ、秋田県が異常な値と感じる。あと、沖縄の顕著な低さは問題か。一方で、低いといわれる大阪も、同じくらいの点数の県はあるしな。実際、全国的な平等性はほぼ確保できていると言っていいだろう。
 最後で指摘されているように、もっとミクロな地域や個人の格差をどうカバーするかが問題だろうな。低位の学校から資源を取り上げるような、競争主義的な政策は愚かだと思うが。