「日本企業の「善意」震災復興速めた:英大など論文「良い教訓に」」『朝日新聞』14/6/13

 東日本大震災で、サプライチェーン(部品供給網)を寸断された複数の日本企業が、限られた資源を時には競合企業との間で調整し、進んで共有したことが、迅速な生産回復につながり、企業の災害対応にとっての良い教訓となっている――。英エディンバラ大などの研究者がこんな論文をまとめた。
 エディンバラ大経営大学院のニック・オリバー教授と、東大のジョージ・オルコット前特任教授(現・慶応大特別招聘教授)が、日立、日立化学、三菱電機ルネサスデンソーの5社で、幹部16人に11年5月から8月にかけて実施した聞き取り調査をもとに執筆。米カリフォルニア大バークリー校が発行する「カリフォルニア・マネジメント・レビュー」誌に掲載された。
 論文は、大きな被害を受けた企業の多くが、単なる契約上の義務の範囲やグループ企業の系列を超えて協力しあったことに着目。企業間コミュニティーを通じて、相互信頼の精神に基づき支援を提供する「社会資本」が働いたと指摘した。
 業界団体が調整に大きな役割を果たしたことにも言及。「動員の傑出した速さは、各社が、知的財産権やその他の商業的利害について法的な保証を要求していたら実現していなかっただろう」と論じた。オリバー教授は「災害が発生した際に、潜在的な資源を解き放つ大きな力が『善意』にあることを、日本の復旧が示している」とコメントしている。(ロンドン=梅原季哉)

 「善意」というか、かつての統制経済の名残っぽいけど。口約束で何とかなる世界なのかね。