「飲用水から医薬品:関東・関西厚労省調査:生態系への影響懸念」『朝日新聞』07/12/23

 大都市圏の浄水場の水から少なくとも25種類の医薬品が検出され、一部は飲用水にも残留していることが、厚生労働省の調査で分かった。環境省の研究班も、利根川、淀川で、医薬品50〜60種類を確認した。研究者らは、飲用水への混入はごく微量で、人の健康に直ちに影響はないとしながら、生態系への影響を懸念している。国内で飲用水への医薬品残留が明らかになるのは初めて。厚労省はさらに3年かけて、詳しく調査する。
 医薬品は、人や家畜から下水を通して環境中に排泄され、医療機関の排水からも流出している。
 厚労省水道課や国立保健医療科学院などは06年2月と今年1月に、関東、関西地方の7浄水場の水で、約60種類の医薬品成分を対象に残留の実態を調べた。この結果、すべての浄水場から、抗生物質X線造影剤、抗アレルギー剤などあわせて25種類が検出された。浄水処理の過程で、残留濃度は下がったが、3浄水場では、抗高脂血症剤、解熱鎮痛剤、抗てんかん剤の3種類が、飲用水にも残留していた。残留濃度は6〜30ppt(1pptは1兆分の1)で、単一なら、体重50キロの成人が70年飲み続けても、健康への影響はまず心配ない値だった。
 これとは別に、高田秀重・東京農工大教授らが05年に、国土交通省の協力で解熱鎮痛剤、殺菌剤など13種類の医薬品類を対象に、石狩川(北海道)、北上川(東北)、黒部川(北陸)、鶴見川(関東)、木曽川(中部)、吉野川(四国)、筑後川(九州)など全国37の1級河川で調べたところ、すべての川から何らかの医薬品が検出された。大都市圏を流れる川ほど、種類も多く、濃度も高かった。
(石田勲、小堀龍之)

 下水の話じゃなくて、上水にも含まれているという話か。まあ、実際、健康への影響はなさそうな濃度だし、浄水処理でほとんど排除できているということではあるが。
 下水処理が、こういう化学物質やマイクロプラスチックなど、人間が作った物質に対して無力というのは、問題なんじゃなかろうか。