『世界の艦船』2017/5号

世界の艦船 2017年 05 月号 [雑誌]

世界の艦船 2017年 05 月号 [雑誌]

 特集は、「空母型DDH4隻体制完成!」ということで、各国のヘリ空母的なものを列挙。しかし、こうして見ると、ひゅうが型・いずも型に似た艦って、あまりないんだな。だいたいは、揚陸艦的な性格が強い。ファン・カルロス1世の眷属とか、ミストラル級が数的に多いのかね。20ノット強の速度。それに比べると、日本艦は速度が重視されている感。イタリアの80年代あたりからの航空機運用機能のある艦って、なんか日本と似たような性能だけど、要求される能力が近接しているということなのかね。
 早い段階から、対潜作戦用のヘリ空母導入という構想は存在したが、予算を得られなかった。で、代わりに70年代にヘリ三機搭載のDDHが導入と。そこから、8隻8機体制へ。
 あとは、F-35が積めるかどうかの話とか。


 関連して、香田洋二「さらば『しらね』型DDH」として、しらね型の記事も。先代のDDHの構想が、米軍の来援基盤を整えるというドクトリンに基づいて練られたこと。8艦6機体制から、8艦8機体制へ。機関の小型化を目指したため、高圧の蒸気タービン機関が搭載され、その艤装には苦労した話やソマリア派遣をめぐるすったもんだなど。
 しかしまあ、3自衛隊が、割と個別最適解を目指して、別の方向に動いている感じが強いな。弾道ミサイル防衛という高価なシステムが割り込んできて、そのような個別最適解も目指せなくなったのが、現在の状況と言う感じかな。


 連載の潜水艦は、戦闘システムの話。周囲と状況を共有するネットワーク機能、データを解析して状況を示す戦術管制システム、各兵器に諸元を与える武器管制システムなどから成る。米英仏独の戦闘システムの紹介。
 そして、オーストラリアのコリンズ級の戦闘システム開発の失敗の話。さまざまなサブシステムを整備してオベロン級の戦闘能力を高めた経験から、コリンズ級では一気にシステム全体を開発しようとした。しかし、それぞれの端末間のデータの遅延やユーザーインターフェースの不出来などで、結局、アメリカのシステムを導入することになったという顛末。難しいんだな。


 写真ページは、しらね型の過去の写真やLCSコロナドの東南アジア展開、イタリアの新フリゲイト・カラビニエーレのシドニー入港など。しらね型は結構好きな船だっただけに、さびしい。あと、コロナドのハープーンポン付けは、もう少し何とかならなかったのか。