皆川典久『凹凸を楽しむ東京「スリバチ」地形散歩』

凹凸を楽しむ 東京「スリバチ」地形散歩

凹凸を楽しむ 東京「スリバチ」地形散歩

 久しぶりに東京の地形本。いくつも読むと、取り上げているネタの共通性と切り口の工夫みたいなのが、見えてくる。
 熊本は、基本的に白川の扇状地にできた城下町だから、あまり、こういう谷戸地形がないんだよな。古い時代から、都市化が進んでいそうなのは、京町台地の東西縁くらいか。戦後ともなれば、立田山の麓や金峰山の麓の谷も住宅化するけど、結局は、新興住宅地でしかないしなあ。


 スリバチの第一法則、第二法則や類型の話が興味深い。第一法則は、丘の上に高層建築、谷に低層住宅が建てられ、標高差を増幅する。第二法則は、崖が、町の不連続面を作る。の、建物が地形を増幅するというのは、熊本では、どの程度当てはまるだろうか。後者は、京町台地の上下を思い浮かべると、当てはまるところがあるな。
 スリバチの三類型、公園系、下町系、再開発系と分けられているが、後二者は、熊本では存在しなさそう。代わりに、新興住宅地系スリバチなら、いたるところにあるが。あとは、かつての農村の姿を残したスリバチとか。公園系は、水前寺公園や旧砂取細川邸といった、江津湖近辺に多い感じか。