ざっぽん『真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました 6』

 新エピソード「サリウス王子」編開幕。
 ヴェロニアの王子、サリウスが突然、ゾルタンの沖合に現れ、「教徒台帳」をよこせと要求する。勇者ルーティは、混乱するゾルタン市の対応の中心となり、サリウス王子の意図を探るべく奔走する。


 勇者のパーティーにも加わっていたヤランドララが主要人物に加わり、レッドはゾルタン社会への関与が、ネット版に比べてより深くなっている感じか。サリウス王子の軍船によって、交易や漁業が封鎖され、食用油の供給がピンチに。レッドは、ヤシからの搾油の方法を考案。ヤランドララに適した樹種を聞こうとして、行方を追ううちに、サリウス王子とミストーム師の因縁、そして、ヴェロニア王国の暗部を知ることになる。


 あとは、最初にミストーム師を襲撃したアサシン、ネット版ではそれっきり出てこなかったけど、文庫版では比較的大きな扱いになっているのが良い。アサシンの加護を得てしまった人々に人間らしい生活を与えるのがアサシンギルド。それに対し、加護の衝動に身を任せ、単なる殺人者に堕してしまったはぐれアサシンたちという対照。
 ここでも、加護の衝動という自分では選べない制約に左右されつつ、自分の人生を自分らしく生きようとする人にこそ、本物の人生を歩めるというテーマがつながっているな。


 とりあえず、オオカミリットさんが、かわいいです。精霊魔術で、動物を下ろして、その動物の身体的特徴が発現する。ラストの、わざわざ魔法で変身してイチャイチャがいいなあ。