ざっぽん『真の仲間じゃないと勇者のパーティを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました 7』

 ヴェロニア王国編もラスト。
 帝王、アークメイジ、海賊といった高位の加護を持つ英雄たちを、自らはまったく手を汚さずに、手玉にとって見せたレオノールこそが、デミス神への最大の反逆者。最終的に大事な物の違いから殺し合うことになったが、加護を相対化して考えるレッドたちと似たような地平に立つ存在である、と。
 過去のレッドとレオノールの邂逅のエピソードを追加したことで、レオノールの悪役としての貫禄は上がった感じだなあ。


 一度、妹レオノールに陥れられ、追い出されたミスフィア。しかし、大海賊ゲイゼリクと出会い、彼を国王にすることで運命を覆した。レオノールは、東の大陸のアスラデーモンと手を組み、彼らの持つ「埋伏種絶の毒」で自身とゲイゼリク、ミスフィアの生殖能力を奪い、アスラデーモンを王子の替え玉として世継ぎとし、逆転を狙う。
 ハイエルフで、埋伏種絶の毒に耐性のあるリリンララは、ゲイゼリクの子を作り、それをサリウス王子としてミスフィアに育てさせる。しかし、レオノールに替え玉の子であることを看破されたミスフィアは、負けを認め、国を捨てることでサリウスの命を救おうとする。
 それから数十年。
 いよいよ、ゲイゼリクの命が尽きるとき、過去の因縁がよみがえる。


 ゾルタンに潜むミスフィアを探し出そうとするサリウスとリリンララ。それは、最終的にミスフィアにトドメを刺そうとするレオノールの罠だった。実の母親を公的に認めさせたいサリウス、そして、真実を暴かれないようにミスフィアを殺そうとするリリンララ。その思惑の齟齬が、リリンララのゾルタン市への直接潜入とレッドによる捕縛、それに刺激されたサリウスの暴発。ミスフィア、リリンララ、サリウスの三人の関係は、過去を認めることによって、和解に導かれる。
 しかし、ゾルタン市への攻撃を理由に、レオノールはミスフィア、サリウス、リリンララを殺そうとする。しかし、それを是としないゾルタンの人々は立ち上がり、一戦を交えることを決意する。ゾルタン発祥以来の大戦争。圧倒的な戦力に対し、「英雄リット」の指揮と、奇策に対して奇策で返すルーティの機転で大勝利に終わる。魔王側寄りの中立だったヴェロニアは、一気に変わり、魔王と人類の戦争の趨勢が変わっていく。


 だいたい、Web版に加筆された構成だけど、エピローグで一気に雲行きが変わる。
 デミス教の枢機卿リュブは、ルーティに変わる新しい「勇者」ヴァンを立て、彼の後援者の立場で権力を得ようとしていた。そして、彼は、ゾルタンの魔王の船を手に入れようと画策する。勇者をやめた勇者と新たに作られた勇者。その出会いを心配する騎士エスタと、元ゾルタンの冒険者アルベールは、裏で動きだそうとする。


 勇者のルートをドロップアウトして、辺境の都市でスローライフを営もうとするレッドとルーティの兄妹とその周辺の人々。しかし、結局、世界を揺るがす事件が、向こうからやってくるのねw
 最終的に、デミス神がどんな存在か、そこに行き着きそうな感じだなあ。


 そして、レッドとリットさんのイチャイチャぶりが怠りなくぶっ込まれてくるのが、いいですねえ。自分たちが幸せこそが、世界につながる。
 クライマックスのゾルタンの軍勢を鼓舞するリットさんが凜々しくてよかったです。