『丸』2019年06月号

丸 2019年 06 月号 [雑誌]

丸 2019年 06 月号 [雑誌]

  • 発売日: 2019/04/25
  • メディア: 雑誌
 特集は一式戦隼。
 カラーページは、プラモの塗装の参考になりそうだな。隼の着色、スパホ、富士学校の部隊移転など。

古峰文三「陸軍主力戦闘機『隼』開発神話の虚と実」

 基本、明野学校のパイロットはスピード重視。反発したのは、燃料を追加しまくった遠戦仕様の戦闘能力低下、と。
 最初は九七戦の性質を引き継いだ機関銃による対戦闘機格闘を重視した戦闘機で、速度控え目、長航続距離が要求の特徴だった。キ43は、不意自転傾向からの胴体延長、さらに、ノモンハンの戦訓を受けた速度と武装の増強要求が加わり、エンジンをハ25からハ105への換装と機体の再設計という方針が固まりつつあった。しかし、太平洋戦争開戦を前提に、南方侵攻作戦の爆撃機護衛のため、長距離飛行が可能な戦闘機を求めた参謀本部は、まとまった数を揃えるため、ほぼ現状での実用化の方針をまとめる。結果として、緒戦において、隼は侵攻戦闘機としての活躍を見せるが、性能向上に枷がはめられてしまった。
 隼の主翼は、3桁構造で、機関砲などの武装増強ができなかった。しかも、増産のために、大規模な改設計は諦められ、エンジン換装は行われても、武装強化はほとんど進捗しなかった。昭和19年になって、「本来」の姿の隼が出現するが、時すでに遅し。
 大戦中期以降、性能の陳腐化が進んだ隼は戦闘爆撃機としての性格を強め、さらには特攻機として「活躍」することになった。隼の爆弾搭載能力、防御力、操縦性は、特攻機向けだった、と。

古峰文三「『隼』戦闘機7つの不思議」

 九七戦は、むしろ速度重視の飛行機だった。「軽戦闘機」として設計されたのは隼だけ。
 武装が貧弱だったのは、発射速度が速いラインメタル機関銃の導入構想、一式固定機関砲の生産の遅れなどが影響。三型の20ミリ機関砲があるべき姿だった。
 スピットファイアやP-40に対抗できて、すぐに手に入る戦闘機が隼しかなかった。そのため、大増産された。さらに、立川飛行機の流れ作業ラインと繊維産業の大量生産技術で、大量に生産できたことが、5000機という生産を支えた。
 零戦のエンジン換装は、そもそも、エンジン生産の都合。隼でそれをやるなら、新型機を作った方が早かった。さらに、転換生産された川崎製ハ115が、九九式双軽の需要を奪って供給された。
 200リットル落下タンクは、抵抗が増してあんまり良くなかったのだが、陸海の統一型落下タンクの都合で、そのままだった。
 古く見えるが、ハ25段階の隼には、二翅で十分だった。無理に三翅にして、重量を増やす必要も無かった。零戦は、振動問題からやむを得ずだった。あとは、ラチエ電動プロペラがモノになるかもという期待もあったという。
 まだら迷彩は、濃緑色塗料の供給不足のため。足りないから、節約で斑点迷彩。さらに、昭和19年には節約に黄緑七号への変更が行われた、と。

土井津たけお「“隼vs零戦”どちらが優れていたのか!?」

 文書に載せられたスペックは、実測ではなく、あんまり当てにならない。同じようなエンジン、機体規模の飛行機でそれほどの差は出ない、と。テストでの性能差は燃料やメカの熟成の進展具合の差であった。
 零戦武装で勝り、防御力で劣る。航続距離に関しては、機内タンクの容量が大きい隼のほうが勝っていた可能性が高い、と。

松田孝宏「“猛鳥ハヤブサ”バトルレポート」

 ビルマニューギニア、フィリピン、中国。そして、本土やソ連侵攻の迎撃など。
 ビルマと中国が長いのかな。ニューギニアでは、主力戦闘機から戦闘爆撃機への転換が見られる、と。

関賢太郎「世界の軽戦闘機ラインナップ」

 P-36ホーク、F4Fワイルドキャット、イタリア戦闘機二種など。ワイルドキャットが軽戦と言われると違和感しかないが、後継機と比べると小さく軽い、扱いやすい飛行機だった、と。

宮永忠将「フランス戦艦物語第1回:ド級戦艦建造計画1」

 戦艦整備の予算が思うに任せなかったフランスは、ド級戦艦時代に乗り遅れてしまう。ドレッドノートが出現し、さらに次々と整備される時期に、準ド級戦艦ダントン級6隻の整備が行われていて、戦力差を広げられてしまう。その後、クールベ級、ブルターニュ級を整備。そして、四連装砲塔三基を持つ、ノルマンディー級戦艦の整備が、フランス海軍の期待を担って、始まる。

藤田昌雄「昭和陸軍の戦場:最終話 衛生システム」

 軍軍医部に、兵站軍医部と野戦貿易部があって、前者は兵站病院を開設。重症者を収容。内地に移送する。師団には、師団軍医部があって、野戦病院とそこへの患者輸送を担う。また、歩兵連隊などの隊附の衛生部は、包帯所と前線での患者の救護を担う。
 防疫給水部は、飲料水の供給とそれによる防疫、さらに、化学戦への対応も担った。

石橋孝夫「日本の仮装巡洋艦8」

 日露戦争仮装巡洋艦日本海海戦では、信濃丸が最初の接触を果たしている。また、戦闘後のバラバラになったロシア艦隊の追撃を行い、損傷艦の捕獲・沈没艦の乗員救出、逃亡艦の捜索を行った。その後は、艦艇需要の減少から、解傭、復旧工事が行われる。
 一部の艦は、樺太占領の輸送・支援に参加。凱旋観艦式に参加。
 信濃丸のように、第二次世界大戦後まで生き延びた船もある、と。

広田厚司「複葉の猛禽ハインケルHe51」

 ナチス再軍備によって誕生したドイツ空軍の最初の戦闘機だった。しかし、Ar65の評判の方が良かったとか、スペイン内戦で送り込まれたがソ連製戦闘機I-15やI-16に圧倒されてしまう。
 その後は、地上攻撃任務に従事。
 微妙戦闘機感が強い。

有村拓真「世紀の会談不測の事態に備えよ」

 ベトナムで行われたトランプと金正恩の会談を警備したベトナムアメリカ、北朝鮮の要員や車両などの紹介。
 金正恩は、中国を列車で移動した後、国境からハノイまで専用リムジンで突っ走る。交通規制がかなり広く敷かれたようだ。あとは、北朝鮮の警備のランクルとか。
 ベトナムは市内の警護にBTR装甲車や武装した兵士を配置。
 アメリカ側も、シークレットサービスが展開。ビーストやIED妨害電子車両、救急車などがもち込まれていた。ホワイトハウスアメリカの各機関と通信するための車両、WHCAのロードランナーが目立っていたとか。アメリカ大統領の国外移動って、本当に荷物が多いのだな。