青木道彦『エリザベス女王:女王を支えた側近たち』

 16世紀のエリザベス1世の本。山川の世界史リブレット人の一冊。ここのところ図書館から本を借りていなかったので、リハビリに薄い本を一冊。ここのところ婚約破棄もののネット小説を読んでいて、歴史上では宮廷の人間関係はどうだったんだろうみたいなところに興味を持ったので、「女王を支えた側近たち」という副題に興味を持ったのだが、そういう興味にはあまり有効な本ではなかった。


 しかしまあ、ヘンリー8世って、知れば知るほど暴君だよなあ。後継者を求めて無理をしまくった。エリザベス1世にしろ、その前のメアリー1世にしろ、相当不安定な地位にあったのだな。
 しかし、ヘンリー8世の息子、エドワード6世にしろ、庶子のヘンリー・フィッツロイにしろ10代で死んでるのは遺伝的な問題なのかな。あと、本書では生年の情報が無かったけど、最初の妻、キャサリン・オブ・アラゴンとの間に生まれた姉メアリー1世と二番目の妻、アン・ブーリンの間に生まれたエリザベス1世の間には17歳の歳の差があるのか。とはいえ、メアリーも死去は42歳なんだよなあ。というか、ヘンリー8世の娘、どちらも適齢期に地位が不安定で、妊娠出産のタイミングを逃しているよなあ。


 宗教問題をめぐるエリザベス1世のかなり強硬な態度が印象深い。個人的には優柔不断な政治家というイメージだったけど、この問題に関しては国王の大権として、口出しを許さなかったという。カトリック相手だけじゃなくて、主教制の国民統制に資する国教会に反発するピューリタンとの軋轢も相当大きかったという。


 そして、この時代のヨーロッパのどこの王権もそうだけど、戦争のための資金の確保に苦労していた姿。当時のイングランド王権にとって、アイルランドの反乱鎮圧が軍事上の最大の課題だった。しかし、独自の課税権限が限られていたイングランド王権では、議会に戦費の徴発の議決を受ける必要があった。しかし、独占特許状の問題で反発を受けていた関係で、議会開催は憚られたとか。どうしても戦費が必要な場合以外は、王領地や動産を売却することでしのいでいた。財政問題は次代以降の課題になった、と。


 息子か孫っぽいポジションだったエセックス伯の興隆と自滅がなんとも。


 メモ:
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