熊本博物館で開催中の展覧会。夏休みがはじまると、子供連れが多そうなので、早めに行く。これは、9/3までだから、ほとんど夏休み期間しかやってないし。8月いっぱい暑そうだし。
タイトルの通り、冨田伊織氏の製作する透明標本の展示。研究用だと、観察できれば充分ということでそれほど時間をかけないが、完全な透明標本を作るには半年ほどかかるそうだ。それだけに、売店で標本が販売されていたけど、小型の物が5000円台、大型の物が25000円ほどの値段を付けられていた。ちょっと欲しかったけど、液体の補充とかを考えるとねえ。
入館料を払わなくて良い分、常設展示には入れないモード。一番大きな第三展示室は生物標本としての側面を強調。各生物分類群の骨格の特徴を紹介したり、特異な骨格の生物を紹介したり。順路で続くのは第一展示室。ここはアート的な展示。円形に配置された標本に光と音楽の演出。最後の第二展示室は、多数の標本が展示されて自由に写真を撮ってくださいスペースという感じか。
第三展示室
標本の製作方法から、各種生物群の骨格の特徴など、標本としての側面を展示。
最初にエタノールからホルマリンで固定、その後アルシアンブルーで軟骨を青く染め、トリプシン酵素で筋肉のタンパク質を分解、硬骨成分をアリザリンレッドで染色、薬液で透明度を高め、標本瓶に封入。ラストの透明度を高める「薬液」というのが、技術の要なのかな。有毒な薬品を使うから、素人がほいほい手を出すものではないそうだが。
欠点としては、あまり大きな個体は無理と言うことらしい。薬剤を浸透させられるのが、全長20センチくらいまでなのかな。脂肪分が多い生き物がダメとか、昆虫は薬液に染まらないとか、植物も無理とか。この標本、内臓は取り除いているのだろうか。胃内容物が残されてる標本もあるけど、他は取り除いているのか、そのまま透明になっているのか。
魚類。
軟骨魚類は骨格標本とか作りにくいから、この方法が向いているそうな。実際、エイの標本を見ると、軟骨の青ばかりで、赤い骨がない。あとは、チョウザメの頭骨の立体的な形とか、かなり軟骨で占められている状況とか。つーか、軟質類といって骨格のほとんどが軟骨らしいけど、背骨は赤いよなあ…
硬骨魚類は、神経棘と鰭の根本の骨の接続関係が気になるな。
両生類。
カエルの足の骨格がすごいなあ。これだけの脚だからこそ、ピョンと跳ねられるわけだ。最初の青いのはオタマジャクシだったか、ウーパールーパーだったか。メモ代わりに写真撮ってるはずなのに、肝心なところで撮り忘れてる。
爬虫類。
カメレオンの肋骨の腹側が軟骨なのが気になる。人間なんかはガッツリ守ってるけど、地面側だからほどほどでいいやってことなのかな。
亀も横から撮っておけばよかった。首の構造とか、おもしろかったはず。展示方法からか、どうしても上から見ることに縛られてしまった感が。亀の甲羅は薬剤で剥がれるそうな。脊椎と肋骨が直下で支えて、表面は皮膚が変化したものだったっけか。
鳥類。
ウズラの雛、ひよこ(ニワトリ)、ウズラ(成体)。小鳥は透明標本にできるわけか。
雛鳥は全身が軟骨なのが印象的。あと、気管が軟骨成分で出来ているのか、青色ですごく目立つ。骨とはかなりルートが違うのだな。食道はどこを通っていたのやら。
成体は、翼を動かす筋肉が付着する胸の骨が発達しているな。
哺乳類。
マウスも肋骨の腹側は青いなあ。哺乳類の特徴は頭骨にあり、か。大脳の大型化による脳頭蓋の拡大、あとは歯が一度しか生え替わらなくて、歯槽にしっかりと固定している。化石の骨だけを見ると、恐竜も哺乳類も骨としか思わないけど、こういう所を見ると良いのね。
甲殻類と頭足類。
マジャコの標本が美しい。イカやタコの筋肉には、軟骨の成分が含まれていて青く染まる。
いろいろと特色のある骨格の生き物の一群。
これはメモを取り忘れたので不明。内臓が残っているのが興味深し。
クロウシノシタ。カレイの仲間。体の全周に鰭があるのかな。
キアンコウ。体のほとんどが頭骨だなあ。泳ぎを捨てて、待ち伏せに特化した感じか。
トビウオ。子供でもヒレがすごい。
マルメタピオカガエル。あんまり跳べなさそうな…