ぽよ子『好感度カンスト王子と転生令嬢による乙女ゲームスピンオフ 1』

 自身の黒歴史に苦悶する完璧王子様w
 ヒロインたるセラフィーナは転生令嬢で、ヒーローたる王子様が無限ループ中か。毛並みつやっつやのかわいい猫ちゃん(すぐ逃げる)をかぶる令嬢。


 突然、7歳年上の王太子殿下からの申し入れで、婚約が決まった転生美幼女ラフィーナ、6歳。顔合わせをしてみると、最初からやたらと好意的に戸惑うことに。婚約披露パーティ以降、絶対がっちり手を繋いで参加したり、セラフィーナに悪意を示した相手からがっちりかばったり。国宝をほいほいと贈ってみたり。なんで、こんなに好かれているのだろうと首をひねることしきり。
 一方、セラフィーナの前世の知識には、この世界が乙女ゲームの世界であった知識もあり。しかし、恋愛ゲームにさっぱり興味の無かった前世の彼女は、マンガ化されたのを読んでいるだけ。そこには、セラフィーナなる存在は影も形も出なかった。
 時間が経っていくうちに、「ヒロイン」の実家であるシュターデン伯爵家が、国家反逆罪で一族郎党処刑され、ゲームのヒロインが王宮に入る可能性もなくなって。


 後半は、種明かし編。
 国宝の「精霊の石」によって、王子が何度も人生をやり直していることが明かされる。「1回目」では、甘やかされて愚かに育った王子が、国を荒らして、「精霊の石」を奪おうとしている異端宗派の策に引っかかって国が崩壊する。乙女ゲームの突然伯爵家の娘になった田舎娘のシンデレラストーリーには、生臭い裏があった。そして、異端宗派がだんだんと侵食していって、国家崩壊に至る。そこで、精霊の石に願いは何かと問われ、やり直すことになる。
 いや、初回の王子のダメダメッぷりがすごいな。黒歴史で頭を抱える王子が理解できる。セラフィーナに初恋を抱いたけど、すっぱり逃げられたか…


 何度やり直しても、25歳でシュターデン伯爵家の手の物に殺されてしまうので、5歳の頃に戻って紹介された優秀な令息令嬢を味方に付ける手に。彼らと、ループを伏せた物語としてのディスカッションで、精霊の石が目的ではないかと考え、「ヒロイン」フィオリーナが引き取られないように密偵を付ける。一つ一つ、危険を取り除いていく。というところで、以下次巻。


 婚約者関係のところが、Web原作から増量されているのかな。


 番外編は、二編。
 最初は、乙女ゲームのヒロイン、1回目で王妃になり処刑されたフィオリーナのお話。方向音痴かあ。王子自身と出会わなければ、警護の騎士や簒奪派の貴族、商人と結婚相手が変わっていく。
 二番目は、側近・幼馴染みの侯爵令息のお話。人を見る能力が高い系。優秀さで鼻っ柱を折られる。特に王子の曲者さに驚く。
 あとは、王子のセラフィーナに対する執着にドン引きしてたりw