大久保喬樹『洋行の時代:岩倉使節団から横光利一まで』

 幕末から戦前に至る欧米留学・遊学者の変化。だいたい10年刻みで変化を追う。幕末の海外渡航岩倉使節団関連、漱石と鴎外、永井荷風など、さらにその後とヨーロッパ文明とどのように向かい合い、どのように関わっていったか。表面的な技術・制度の受容から、だんだんと精神的に分け入り、ぶつかり合う。永井荷風の欧米体験というか、放蕩生活が印象的。
 ただ、なんかナチュラルに欧米文化を高いものとして見るような視点が、気になる。世代差と言えばそうなのかもしれないが。あと、基本的に昔の日本人の世界観にはアジアが抜けているような。そもそも、アジアをアジアとひとくくりにするところで問題があるしな…