初動一週間問題とか、電子書籍の話

 だいたい一週間で決まっちゃうから、なるべく早く買ってという作者の声を、「脅されてる」ととる人が多くて驚く。正直、必死だなという印象しかなかったのだが。「応援」もやり方で、効果の強弱があるという話なのではなかろうか。
 あと、ちょっと気にいらないと、ものすごい攻撃的な言動する人が多くて引く。なに、その電子書籍原理主義電子書籍も、それほどバラ色ではないことは明らかになってきてしまっているように思うが。結局、古い本・売れない本は、電子書籍でもサーバから排除されてしまう。つーか、そもそも、もっと入手に不便な同人誌が一大市場を形成しているのに、消費者の利便性ばかり言い募るのもどうなのかねえ。
 正直、物理的圧力のない電子書籍は、優先度が低いまま積みにもならず忘れてしまいそうなので、手を出す気にならない。

電子書籍が売れてもマイナス、は何故なのか? - Togetterまとめ

 企画の継続に電子書籍が寄与しないのは、結局、電子書籍の流通に金融機能が欠如しているということなのだろうな。出版社にとって、紙の本は、出荷した時点で金になるが、電子書籍は金銭化に時間がかかる。作者にとっても、刷り部数で一括してお金が入る紙の本に比べると、実売に応じたお金が後から振り込まれる電子書籍は収入の見込みが立ちにくい側面がありそう。売れないリスクを、出版社や取次が引き受けている、著者に対する金融機能は重要だと思う。
 あとは、電子書籍だと、値下げ販売するから、出版社の取り分が減るというのも大きそう。
 電子書籍のプラットフォームに、リスクをとって編集までするインセンティブあるのかね。アマゾンならできなくはないだろうけど、あの会社、流通を支配して、独占支配から利益を得たい企業で、生産はやりたくないだろう。他の会社は、小規模か紙の出版と兼業だしな。
 つーか、ツイッターあたりで吹き上がるなら、それ関係の情報をシャットアウトして自分の好きな買い方を粛々と実行するか、流通のしくみの勉強するかどっちかにしろっての。

「1冊売り切る」コストより「1冊を永久に(または一定長期間)アクセスできる権利を維持する」コストの方が低い、などと安易に考えるのは間違いの元。

 これはそうかもなあ…

書店で見つけられない本を読者は予約・注文するか - Togetterまとめ

 客注ねえ。3週間近く待たされるとか、待ったあげくなかったとか、苦い思い出しかないので、なるべくしたくない…
 書店員に印象づけるには効果的で、好きな作家の応援には有効と。しかし、そんなに気長に待つ気にはならんなあ。もっと早く手に入れる手段があるだけに。
 取次系の通販で、本屋受け取りの効果はどうなんだろうか。e-honとか、honyaclubとか、あるわけだけど。

GA文庫編集が初動一週間問題に言及「重版のかからない商品は途中から売上が急増することはめったにないから初動段階での判断になる」 : まとレーベル@ラノベ新刊情報サイト

 やっぱり、電子書籍メインになると印税減るのか…
 あと、だいたい、初動で売上が見えてしまうとか、続刊を出すと一巻が少し捌けるとか。電子書籍はまだ売り上げが小さいと。
 電子書籍も、著者が販売権を定額で売るとかすれば、紙の本の印税みたいになるのかな。しかし、市場も資本も格段に小さい市場では、かなり厳しく選別されそうだが。あと、電子書籍の方が、宣伝費用がかかりそう。

なぜ電子出版は軽視されるのか (1/4) - ITmedia ビジネスオンライン

 書店のディスプレイと比べても、電子書籍は読者にリーチしにくいんじゃないかねえ。プロモーションコストはどっちがとか、出版社としてはどの程度の収益が期待できるのかとか、そういう部分で議論しないと、あまり意味はなさそう。
 つーか、無料とか、定額のサービスも既存の資産を利用しているんだよなあ。そこから、現在の出版ほど、新しい文化を創造できるのかね。金融やプロモーションを引き受けるプレイヤーが出てくると劇的に変わるのかもしれないが。