『朝日新聞』の「世界発2012」から

[切り抜き][災害]「世界発2012:スピード復興 不正の温床:中国・四川大地震から4年」『朝日新聞』2012/5/15

 大陸の不正はダイナミックだなあ。最初にまともな被害集計が機能していないってことなのだろう。だから、現地調査すればバレバレな、被害の水増しが可能になる。


 ほとんど被害を受けていない地区で大量に家屋が倒壊したことにして「重大被災地区」の指定を受ける。そして、住宅再建のための補助金義援金、生活補助費などを、行政幹部がネコババする。あるいは、地震で崩壊したとして、再開発用地に取り上げちゃう。
 調べたら、普通分かるだろうってレベルのでっち上げだが、これが、そのまま通じちゃうのが、アレすぎる。
 あげくに、疑惑の捜査は、うやむやで止まる。底なしの腐敗。


 後半は、過大な商業ビルの建設。神戸の再開発ビルの構図が、「決められる国」で拡大再生産されたわけか。それに、汚職も加わる。
 おから建築と呼ばれるレベルでの手抜き工事が疑われた四川省都江堰市の聚源中学校跡地とその周辺は、再開発され、商業地域に。しかし、閑古鳥が鳴いている状況。もともと、需要がない土地に、中央の金で市街を建設させ、その費用をちょろまかす。建物の質がどの程度のものなのやら。


 災害復興において「決められる国」であることは、逆に、問題のように思えるな。

[切り抜き]「世界発2012:干ばつ・洪水 土地さらう」『朝日新聞』2012/5/16

 アフリカのサハラ砂漠南縁、サヘル地域が天候不順にさらされている状況をレポート。降れば土砂降りか…
 2012年の旱魃は特にひどかった。さらに、マリでは反政府武装勢力によって無政府状態になり、状況が悪化している。難民の移動した先で、さらに人道危機に。家畜どころから、人間が飲む水が足りない。


 気候変動で、降雨のパターンが変動。旱魃の間隔が短くなった一方で、降水は集中的に起こるようになり、乾燥地で洪水被害に遭うことも増えてきた。保水力がないから、余計、水害を受けやすくなる。結果、人間の生活そのものが崩壊寸前か。これ、どないも手の施しようがない感じだが…

[切り抜き]「世界発2012:故郷に忘れられた私:東ティモール独立10年」『朝日新聞』2012/7/3

 独立時に、インドネシアへの統合を主張した人々が、帰れないまま、新インドネシア人として暮らしている、と。
 元反独立派民兵に対する敵意は、10年たっても強い。元民兵自身の帰還は難しいし、その血縁者などの「一般人」も返れない事情を抱えている。で、定住へ向けての努力が進んでいる状況。「強い望郷の念と、インドネシア人としての再定住という現実のはざまで今も揺れている」状況であると。ティモール島内では、地域ごとの文化にかなり違いがあるようだし、同じ島の中でも、かなり異邦感があるのだろうな。
 さらに、6年たった現在は、どうなっているのだろうか。

[切り抜き]「世界発2012:吸血鬼、ブルガリア起源?:胸に杭打たれた人骨、次々」『朝日新聞』2012/7/25

 少なくとも13世紀あたりから20世紀初頭まで、遺体が吸血鬼として蘇るという信仰があった、と。それに関連する、胸に杭を打ち込まれた遺体が、たくさん発見されている。夜中に動物や人間を襲う、獣に似た姿の存在ということで、現代のフィクションに出てくるようなヴァンパイアとはずいぶん趣が違う感じ。
 ヴァンパイア・キラーという人々も居たそうな。土曜日に生まれた人しかなれない。墓を掘り返し、遺体に鉄杭を突き刺すそうな。ある意味、対処がそれほど難しくない感じだな。


 で、発掘された鉄杭を打ち込まれた遺体を素材に、ヴァンパイア観光で人を呼び込もうとしている商魂たくましさw

[切り抜き]「世界発2012:元グルカ兵、アフガンへ:民間会社の警備員に転身:退役ネパール人、母国に職なく」『朝日新聞』2012/8/15

 めちゃめちゃ、給料安いな。命の危険があるアフガン勤務で、1千ドル。当時は8万円くらい、今は11万くらい。欧米人なら、8-10倍の給与が必要という、この格差が。
 貧しい農村部に生まれ、イギリス軍やインド軍のグルカ兵が退役後、故郷で仕事がないから、民間軍事会社に雇われて戦地に赴く。
 給与が安い上に、訓練済み、英語も使えると、PMC側にとっては便利なわけだ。しかし、グルカ兵の地位向上を目指す活動家の「負の遺産」というのは、全くその通りだよなあ。生まれ故郷ないしネパール国内でまともな職があることにこしたことはないし、出稼ぎするにしても軍人という危険な仕事を選ばなくてすむようになるべきではあるよなあ。
 結局、雇っている側はイギリス人だったりするし。

[切り抜き]「世界発2012:植民地下の拷問 傷なお:ケニア元闘士に補償請求権 英で決定」『朝日新聞』2012/10/19

 どこの国も、後ろ暗いところがあるものだな。イギリスなんか、植民地をあちこちに持っていただけに、どこまで広がるか分からないのだろうな。「民事裁判の提訴時効は通常3-6年」とか、「事件の責任は独立後のケニアに引き継がれた」って、日本政府あたりが言いそうなことではある。
 フランスのアルジェリア独立戦争なんかも、かなりアレだし。つーか、自分の国が危うくなってるしなあ。


 アフリカに行った白人って、どこの国も相当えぐいことやってるなあ。強制収容所で、次々と独立運動家が死んでいく状況とか。拷問とか。「人道」とか、よく言うなあ…
 で、独立後、土地や役職を手に入れたのは、植民地政府関係者。さらに、独立運動を行ったマウマウ団は、イギリスとの関係を気にして、組織化を禁じられていたとか。


 CNN.co.jp 英、ケニア独立闘争の拷問被害者らに30億円支払いへによると、きっちり記録を取っていて、残してあった。史料保存の重要性(とはいえ、政府担当者にとっては、持っていたくない類の記録だろうなあ)。つーか、英軍、やっぱり文書を焼いてたのな…

[切り抜き]「世界発2012:観光地・チェルノブイリ:当局がツアー企画、世界中から客」『朝日新聞』2018/12/27

 当局がツアーを企画するのは、原発建設推進の理解を得るために広報活動である、と。ロシアからの天然ガス供給が、支払い問題でこじれて、原発などの自前での発電能力整備を強いられた。これ、クリミア併合後、どうなったんだろう。炭田は失っちゃったんだよな。