- 作者: 出水伯明,深田サルベージ建設株式会社協力
- 出版社/メーカー: 洋泉社
- 発売日: 2017/10/26
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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起重機船に魅せられた写真家が、深田サルベージの様々な作業をルポする。カレンダーの写真撮影を依頼されるなど、長らくの付き合いがあるようだ。深田サルベージの起重機船の様々な作業をレポートする第1部、深田サルベージの歴史を紹介する第2部、起重機船を操る乗員の方へのインタビューからなる第3部の、三部構成。
日常のスケールを超えていて、なんかもう、すごいなあという感想しか出てこない。700トンのケーソンをつり下げるワイヤーの太さが人間の腕ほどもあったり、私では持ち上げられそうもないシャックルだとか。持ち上げる時に、下に敷いているコンパネ材が、加重から開放されるときにドンッと音をたてるなんかは、現場に行かないと分からない話だなあ。
老朽化したガントリークレーンの撤去の話で、改造などが行われていて、むしろ新設より気を使うというのは、なるほど、と。
第2部は、深田サルベージ建設の歴史。旧海軍のダイバーが民間でサルベージ業を始めたのか。かつては、ダイバーが潜って、浮力タンクを取り付けて、浮上させる方式だった。今でも、ダイバーは重要。久慈高校種市分校には、潜水科がある。
戦後は機帆船などが、過積載などで大量に沈んでいた。有名どころでは、第十雄洋丸の曳航、ナホトカ号の船首の回収、北朝鮮の工作船の引き上げなどが、関わった有名事件。あと、戦艦陸奥の船体は、深田サルベージが払下げをうけて、所有しているとか。
その後、橋梁の建設や海洋開発事業に進出。阪神大震災の時、神戸港の復旧が早かったのは、神戸を拠点とする作業船がフル回転で作業をしたからと。
最後は、起重機船の乗組員のインタビュー。それぞれ、癖があって、動かし方が一様でないから、独自の文化が出来上がる、と。乗組員の個性と船の個性が合わさって、それぞれの船で、乗組員の働き方に違いが出る。
かつては、漁船の乗組員を即戦力で取っていたが、今は水産高校の新卒を採ることが多い。
船長が船の操作を担当し、地上でのつり下げ作業や船の誘導を行うのが甲板長(ボースン)。現場作業の統括は、むしろボースンのお仕事。あと、やはり、こういう閉鎖環境ではお食事が大事ということで、司厨長へのインタビュー。