- 作者: 手書き地図推進委員会,川村行治,赤津直紀,跡部徹,大内征
- 出版社/メーカー: 学芸出版社
- 発売日: 2019/08/01
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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基本的には、地域資源発見のワークショップを企画する人々向けの、ハウツー本という感じかな。地図のテーマを決めるネタ出しの座談会、具体的な題材を集めるフィールドワーク、そして、また室内に戻って大きな模造紙に情報を描き込んでいく地図作りフェーズ。それも、無限に時間があるわけでなく、多くの人を集めて、1~数日がせいぜいの時間の中で、どうやって成果を出すか。そこが、企画する側の腕の見せ所というところか。
何気ない一言が転がって、次々と情報を呼んでくるおもしろさ。企業のチームワークの研修に使われるというのもおもしろいな。部署違いの人々が集まって、思わぬ地図ができあがる。
そして、地図が出来上がれば、今度は作った時の人のつながりや取材相手のお店といったつながりで、地図を流通させ、人々のつながりを活性化させていく役割が期待される。
ある面で、この手書き地図推進委員会の宣伝本って感じもあるな
サンプルで紹介される地図がおもしろい。正確さを重視しない分、逆に「場」の盛り上がりが見えるような地図ができあがってくる。
特に、第一章の、手書き地図への誘いとなった作品が魅力的。
個人で、埼玉県ときがわ町の商店の紹介を描き込みまくった「ときがわ食品具(しょっぴんぐ)マップ」は圧巻。
他に諏訪地方の歴史を追った「下諏訪アースダイバーツアーマップ」やクリアファイルで重ねるというアイデアが秀逸な「佐原まち歩きマップ」。
観光客向けだけでなく、地元の生活者の日常的な利便を紹介するマップなど、いろいろとテーマはあり得る。「あなたの日常は誰かの非日常」というのは、確かにそうだよなあ。
地図集めを趣味とする人間からすると、手書き地図は、かなり興味を惹かれるもの。