思ったより梅雨入りが早そうなので、慌てて行った。混んでるかと思いきや、それほどでもなかったな。
県立美術館が所蔵ないし寄託されているコレクションの紹介展示。二階展示室3室を、それぞれテーマを変えて展示は、いつもの美術館コレクションのパターンだな。第一室に、刀剣を持ってくるあたり、刀剣女子狙いなのかなあ。第二室は焼き物類。第三室は19世紀末から20世紀初頭のフランス絵画と、それに影響を受けた熊本ゆかりの洋画家たち。
肥後のわざモン
刀剣と刀装具の展示。
元赤羽刀の同田貫が複数出品。ちょくちょく展示されているな、ここいら。同田貫は、がっしりしたフォルムが強い印象を与えるが、他の刀は、良し悪しがそもそもよく分からない。
刃文に注目すると、兼定がギザギザ、国行は直線からゆるいカーブ、同田貫はピッチが大きいギザギザという感じか。上から兼定、国行、同田貫×4。正国、上野介、左馬介、源左衛門。
拵えもいいなあ。肥後拵とか、信長拵とか。
肥後のやきモン
焼き物の部屋。
熊本だと、やはり陶器の印象が強いな。あとは、茶陶として発達してきた側面も。小代焼、八代焼、網田焼が多い。藁灰釉と灰釉の組み合わせが意匠の基本の小代焼、白土の象眼が印象的な八代焼、磁器の網田焼、それぞれ味があるなあ。
天草の磁器はあまり収蔵されていないようだ。高浜焼は18世紀から生産を始めていたようだが。
灰釉藁灰釉長方形香炉。植木鉢として作られたけど、雰囲気が良かったのか、香炉に転用されたもの。確かに、模様が印象的な香炉。
染付山水文大鉢。網田焼の磁器。写真だといまいち分からないが、大きくて目を引いた。
象眼牡丹文花瓶。大きくて、象眼が見事。松橋焼。
象眼暦手壺。全体に、縦縞の象眼が施されている。これだけの線を刻むのは、そりゃ、大変だったろうなあ。
高浜焼、染付葡萄文鉢。現在も磁器生産を続けている天草の老舗。
鉄釉藁灰釉大花瓶。これは比較的新しい作品。水の平焼の海鼠釉の大花瓶。二種類の釉薬によるまだら模様が印象的。
灰釉藁灰釉象形香炉、灰釉藁灰釉双魚鉢、象嵌貝文蛤形鉢。ここいらは、形のおもしろさが。特に最後の蛤形鉢がいい。
白磁花型猪口。花の形に削り出した猪口。見事。
肥後の洋モン
ここは、県立美術館が力を入れている印象派以降のフランス絵画と熊本に関わりのあった近代洋画家のコレクション。印象派やキュビズム、フォービズムなど、ヨーロッパの最新の流行を取り入れつつ、日本の画家も制作を行った。日本人画家の作品は、著作権の関係からか、撮影禁止が多かった。
とりあえず、海老原喜之助の「雪中群鳥」が、清々しい青さで、印象的だった。エビハラブルーとはよく言ったもの。同じ作者の「曲馬」の良かった。あとは、牛島憲之の「貝焼場の風景」とか。ヴラマンクの「湖畔」もつえーな。
宮嶋羊邨「戦蹟(中支上海開化)」。戦闘後の上海の廃墟状態を描く絵。絵そのものよりも来歴が印象に残る。最近、県庁で発見されたって、どこにしまい込まれていたのだろう。背景の剥がれは、演出ではなく、単純な劣化だそうで…
シャルル・ヴィクトール・シリオン「犬を抱く少女」。イッヌかわいい。
山田隆憲「ベランダの女」。清涼感のある作品。ガラスがはまっていない絵は、自分の映り込みが気にならなくて良いなあ。