「熊本の伝統野菜「春日ぼうぶら」:遊休農地解消に期待:熊本農業高とJA熊本市:手間かからず雑草抑制 農家に種苗配布 販路課題に」『熊日新聞』10/6/14

 民謡「おてもやん」の歌詞にも登場する熊本の伝統野菜、春日ぼうぶら(カボチャ)。熊本市が保護やブランド化を目指す「ひご野菜」の一つだが、生産量がわずかで見かける機会も少ない。そんな中、遊休農地解消の効果にも期待して、熊本農業高(同市)とJA熊本市が復興への取り組みを始めた。


 春日ぼうぶらの名はJR熊本駅のある同市春日にちなむ。同市によると、農家の庭先などで盛んに作られていたが、甘みが強い西洋カボチャに押されて生産者が減り、現在は一般には流通していない。水分が多く、ヘチマのような形とあっさり味が特徴。
 5月上旬、同市小山町の遊休農地12アールに、JA熊本市職員と熊本農業高園芸・果樹科の生徒ら約20人が春日ぼうぶらの苗56株を植えた。本格的な栽培はどちらも初めて。同校の農園にも植え、施肥などの条件を変えて適した生産方法を探る。
 カボチャは栽培に手間がかからず、病気に強い作物の一つ。中でも春日ぼうぶらは「広範囲に伸びて葉が日光を遮るため、農地を荒らす雑草も抑えられる」と、2007年から、ひご野菜の栽培と振興に取り組む同校の佛崎智夫教諭(52)。地力を高めるマメ科植物との混作で連作も可能という。
 一方、合併3町を除く熊本市の遊休農地は05年に207ヘクタールで、過去10年間で倍増(農林業センサス)。相続で非農家の土地所有が増えていることもあり、JA熊本市では懸念を強めている。雑草を放置すると病害虫や火災の発生につながりかねず、数年たつと原野化が進んで農地としての復元も難しいからだ。
 「雑草で農地を荒らさないためには年4、5回の耕運が必要。外部に依頼すると10アールで2万円以上の出費になり、所有者には負担が大きい」とJA熊本市農業支援センターの境恵センター長(58)。そこで春日ぼうぶらも着目した。「管理支出が減り、販売収入も得られれば農家には一石二鳥」と話す。
 収穫は7月に始まり、秋まで続く。同JAは種子を採取し、来年から栽培を希望する農家に種や苗を配って普及を図る。課題は販路確保。一般になじみが薄いため、学校や病院の給食用に活用するほか、レシピ集を作ってレストランや飲食店などに売り込む考え。
 元青果卸会社勤務で伝統野菜に詳しい古荘俊夫さん(67)は「収量の多さ、保存性の高さなど利点が多く、売り方とPR次第で(商品作物としての)将来性は十分ある」と、取り組みに注目している。   (蔵原博康)


熊本市「ひご野菜」に15品目:情報発信で消費拡大めざす
 熊本市は2006年に「春日ぼうぶら」「水前寺菜」など熊本で古くから栽培され、地名や歴史にちなむ野菜など15品目を「ひご野菜」に指定。統一マークや新メニューの開発、試食会などで生産・消費の拡大、ブランド化を図っている。
 多くが大量生産されておらず、少数の農家によって維持されている”マイナー野菜”。各品目を1、生産体制が整いつつあり消費拡大を図る 2、種苗購入が可能で農家の育成を図る 3、保存を図る―に分類し、それぞれに応じた振興策を図る。
 「消費拡大に向けて食べたり購入したりできる場所の情報発信が次の課題」と地産地消推進室。生産者のグループ化をはじめ、取り扱い施設の調査や紹介にも力を入れる考えだ。

 「おてもやん」にそんな単語あったっけ? ちょっとおもしろそう。甘みが少ないあっさり味だそうで、焼いてみたら結構いいんじゃないか。
熊本から発信です: 「春日ぼうぶら(かぼちゃ)」
国産まるかじりネット | 熊本県熊本市「春日ぼうぶらの焼きディッシュ」
水と食 - 熊本の伝統・特産野菜「ひご野菜」 / くまもとウォーターライフ