「うちのイチ押し:餅の大黒屋(熊本市):おはぎ:秘伝の甘さ 先代ゆずり」『朝日新聞』11/3/2

大黒屋 - 田崎橋-和菓子 [食べログ]
 うどん屋併設のお店? あのあたりを通りかかったら、寄ってみるかな。
 検索をかけてみると、ちょくちょくブログに名前が出てきたり、テレビに採り上げられていたり。しかし、二本木のあの界隈、なんかかなり激しい地震被害を受けていたようだけど、大丈夫なのだろうか。

 おはぎと言えばここの、と決めている。まず、見た目がいい。黒と見間違うほどの深い小豆色のこしあんに、ちょこんとまぶされたケシの実。味も素朴ながら上品だ。あんの甘さ加減はほどよく、俵型にくるまれたもち米の自然な甘さが引き立つ。
 創業約130年。二本木地区の本通りに店を構え、道路に面した陳列棚には、おこ
わやかき餅などが並ぶ。おはぎはなかでも看板メニューで、昔ながらの製法を続ける。
 4代目の茶屋久子さん(40)によると、いつごろ作り始めたかは不明。ただ、昨年亡くなった先代の父・實さん(享年76)は「おはぎの味だけは変えるな」と話していたという。味のカギを握る砂糖の分量は「企業秘密」。砂糖の価格高騰が心配されるが、「どんだけ価格が上がろうと、これを変えたら意味がない」と茶屋さん。
 素材にもこだわる。もち米は県産で、試しに炊いて、最もおいしかったものを次の新
米の時季まで使う。小豆は、風味が良くて色の濃い北海道産。あん作りの際に水分を飛
ばして凝縮させるので、深い色に仕上がる。
 道具も大事な要素だ。作業場には年季の入った「餅台」や、もちを入れる「もろぶ
た」などが置いてあり、もちを乾燥させるときに使う「餅板」はもち粉で白っぽくなっ
ている。「この状鮫じゃないと、もちがくっついて作業できない」そうだ。あんで包む
作業は、体温がうつらないよう1個10秒ほどという職人技だ。
 春の彼岸ももうすぐ。今年も「忙しくなりそう」と茶屋さん。おはぎは10個入りで9
00円。年末〜1月末は販売していない。添加物を一切使用していないため、消費期限
は当日限り。日曜定休。問い合わせは同店(096・325・0300)。       (柴田菜々子)