天草の崎津集落も含む「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」が世界遺産に指定されて一周年を記念して開かれた企画展。天草のキリシタン関連の博物館が所蔵するキリシタン関連の遺産、永青文庫の天草島原の乱関連史料、上田家文書などの潜伏キリシタン史料を一堂に集めた展示会。
10月の始めあたりに、一度訪れているが、なんか調子が悪くて、ピンとこなかったので、ここまでずれ込んでしまった
全体は、四部構成。
第一部は、禁教以前のキリスト教の遺品。キリシタン墓碑拓本や天草版の影印本、そして、海外から輸入されたバッジやメダイ。日本のキリスト教徒は、海外からのメダイに非常に執着したとか。
第二部は、天草・島原の乱関連史料。一揆勢への降伏勧告やそれに対する返事など。四郎法度書が興味深い。これが出された時点で、ずいぶん士気が落ちていたのだな。戦いを信仰と結びつける論法が顕著。
そういえば、原城も、外郭線での攻防が鍵になっているな。それを破られると、一気に落城まで突き進む。
第三部は、天草地方の隠れキリシタンの史料。庄屋上田家が、現在の上田陶石合資会社につながっているのか。その上田家文書には、キリシタンの存在が発覚した「天草崩れ」の際のキリシタンを尋問した記録が残る。
「崎津村絵図」が展示されているけど、崎津の湾のなかが、石垣護岸みたいに表現されているのが興味深い。かなり財力のあった集落なんだな。地図で見ると羊角湾全体が良港の上に、ちょうど船が入りやすそうな湾。後背地が大きかったら、もっと繁栄していそう港だけど。
あとは、伝承された信仰具が興味深い。銭、鏡、アワビ、そして黒い石など、さまざまなものが見立てられている。
最後は、近代の状況。海外からの宣教師の土地確保の様子や棟方志功の版画など。