「オオムギ中東が起源:日本の栽培種1万年前に突然変異」『朝日新聞』15/8/27

“人類最古の農業 ”栽培オオムギの起源を解明
 へえ。DNAの分析の結果、オオムギの栽培化が二地域で個別に行われ、現在栽培されている地域も異なっていると。シリア北西部からトルコにかけての地域で栽培化された種が東に向かい、日本などにももたらされた。一方、ヨーロッパなどの栽培種は、イスラエルの野生種に近いと。それぞれが、かなり性質を異にしていて、交配・育種に利用できそうという話。どうして、こうも、見事にコントラストができあがったのかというのも、興味深い。
 ついで、オオムギの脱粒性は二つの遺伝子が合わさって起きる。で、南北二種の栽培オオムギは、機能しなくなった遺伝子が異なると。
 おもしろい。

 日本で古くから栽培されている麦茶などの原料のオオムギの起源は、中東のシリアからトルコにかけての地域で1万年以上前に突然変異した野生種であることが分かった。農業生物資源研究所や岡山大などの国際研究チームが、米科学誌セルに発表した。
 研究チームは、世界各地の野生種と栽培種のDNA配列を比較。日本の栽培種は、シリア北西部からトルコ南東部に残る野生種に近いことを突き止めた。一方、ビールなどの原料となる欧州の栽培種は、イスラエルの野生種に近かった。
 二つの栽培種は、それぞれの場所で別々に起きた突然変異で生まれ、東西に分かれて広がったとみられる。日本には7千〜8千年かけて伝わったらしい。
 野生種は実が成熟すると地面に落ちやすいが、栽培種は成熟しても実はついたまま。この違いは、細胞壁をもろくする遺伝子が突然変異で働かなくなった結果であることもわかった。
 中東の「肥沃な三日月地帯」と呼ばれる地域では、遺跡の調査から2万3千年以上前には野生種の実が食べられていたことが分かっている。約1万年前の人々が、実がついたままの突然変異のオオムギを見つけ、栽培を始めたのが農業の起源とも考えられるという。       (須藤大輔