書評・最新書評 経済成長の日本史―古代から近世の超長期GDP推計 730?1874 [著]高島正憲 - 山室恭子(東京工業大学教授・歴史学) BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト

book.asahi.com そもそも、近世の「石高」と言う単位が、必ずしも信用できる数値ではない。課税基準にすぎないというのが、通説化しつつあると思うが。固定資産税の課税基準が、必ずしも市場価格を反映していないように。 まあ、基準をつくるというのは、無…

白いご飯は味がないから苦手?!『残念和食にもワケがある』 - HONZ

honz.jp 98年から、毎年首都圏の家庭を対象に行われている食生活調査。なんか、寂しく感じるけど、うちも写真を撮ると、そんなもんか。昼食は残り物というのは、良くある。 「家族の勝手でしょ!―写真274枚で見る食卓の喜劇」をどこかの書評でチェックしてた…

『サルは大西洋を渡った──奇跡的な航海が生んだ進化史』 大海原という障壁を越えて進出する生物たち - HONZ

honz.jp 生物の不連続な分布は、地殻変動による生息域の分断で説明されてきたが、それでは説明できない事例が多くでてきた。遺伝子時計による分岐時期の推計と、一致しないパターンが多いと。 詳しいことは、この記事では説明されていないが、海を渡ったわけ…

『家族をテロリストにしないために イスラム系セクト感化防止センターの証言』「取り込み」はいかにして行われているのか - HONZ

honz.jp イスラム系セクトのオルグ方法。世界を支配する秘密結社とか、むしろ欧米風といった感じがするな。このあたりのネタは池内恵の得意そうな分野。 日常に不満を感じる人に、「真実」を知ると優越感を植え付けるわけか。迫害されればされるほど、正しい…

僧侶で歴史は動いた 『日本の奇僧・快僧』 - HONZ

honz.jp 95年に現代新書で出版された本を、吉川で復刊と。こんな本あったっけ。当時は、アンテナに引っかからなかったのかな。 道鏡、西行、文覚、親鸞、日蓮、一遍、尊雲(護良親王)、一休、快川、天海といった、中世の著名な僧侶の評伝だそうで。道鏡や天…

オスはみーんな、二重人格?『歌う鳥のキモチ』小鳥のびっくり私生活 - HONZ

honz.jp 小鳥の仁義なき遺伝子拡散行動。まあ、人間でも、厳密に一夫一妻行動を守っているわけではなし。遺伝子のバリエーションを増やして、生き延びる可能性を拡大するという点では、合理的な行動だよなあ。

『運慶への招待』一門を纏める仏師 - HONZ

honz.jp 運慶の解説本の紹介。仏像の高さを「全長」と表現するのはどうなんだろう。しかし、8メートルの像二体を、69日で仕上げたって、どれだけのマンパワーを投じたんだろうな。その前の、計画段階がすごかったのか。 運慶とその息子は、僧の最高位法印を…

『黙殺 報じられない“無頼系独立候補"たちの戦い』悪戦苦闘の中に見えてくる、選挙制度の問題点 - HONZ

honz.jp きわもの扱いされる、弱小候補を取材したノンフィクションの紹介。メディアが取り上げないから、演出が尖って、奇抜になっていく、か。供託金制度の問題点。実際問題、立候補の自由を阻害しているのではなかろうか。違憲であると提訴したら、どうい…

『レッド・プラトーン 14時間の死闘』耳をつんざく砲弾の音、着弾時の振動、立ち込める煙 - HONZ

honz.jp よくもまあ全滅しなかったな。上から撃ち放題、優勢な戦力、陣地内に突入を許すって、完全に詰んでると思うが。混戦状態だと、近接航空支援も、砲撃も、難しそうだし。 同じ戦いを、タリバーン側から見たら、どういう描写になるのだろう。先進国では…

『ブレグジット秘録』 心地よい嘘と不快な現実の争い - HONZ

honz.jp 人は、不快な現実の前では、心地よい嘘に逃げ込みたくなる、と。 残留派の広報活動の中心人物の回想録。そもそも、マニフェストに盛り込んだ時点で、不可避だったと。まあ、この手の重要決定に関しては、55-60パーセントくらいの得票が必要とかのハ…

『廃墟遺産』あったかもしれない風景に想いを馳せて読む - HONZ

honz.jp 政治が絡んだ、壮大な廃墟と、その背後の思考を描き出す本。 つーか、アンゴラのニュータウンが恐ろしいな。石油収入なんかがあると、こんな浪費をするのか。50万都市を3年で作ったあげく、ほとんど人が住んでないとか。これだけの金を、教育に回し…

活字離れ?いやいや、今の日本人は漢字に詳しいですよ

www.buzzfeed.com 漢和辞典って、石碑の碑文を読むようになって、使うようになったな。古い時代の文章だと、わけのわからん漢字が出てくるからな。 「辞書作りは、ルール作りなんです」ってのが、印象深いな。本の分類なんかもそうだけど、どうしても、どっ…

新聞の書籍広告から

生産・流通・消費の近世史 勉誠出版 生産・流通・消費の近世史作者: 渡辺尚志出版社/メーカー: 勉誠出版発売日: 2016/09/30メディア: 単行本この商品を含むブログを見る「もの」と交易の古代北方史 勉誠出版 「もの」と交易の古代北方史 奈良・平安日本と北…

書評・最新書評 コトラー 世界都市間競争 [著]フィリップ・コトラー、ミルトン・コトラー 資本主義に希望はある [著]フィリップ・コトラー - 諸富徹(京都大学教授・経済学) BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト

book.asahi.com 都市間競争ねえ…

書評・最新書評 アメリカは食べる。―アメリカ食文化の謎をめぐる旅 [著]東理夫 - 大竹昭子(作家) BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト

book.asahi.com アメリカの食事の多様性と画一性。ヨーロッパの料理を、アメリカ大陸の材料で再現しようとした歴史か。あるいは、土地の事情に合わせた食材や食べ方など。 一方で、同じレベルのものが広い範囲で手にはいる「公平性」の要請。

コラム別に読む 台湾の現在 若林正丈さんが選ぶ本 - 若林正丈(早稲田大学教授・台湾地域研究) BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト

http://book.asahi.com/reviews/column/2015120600002.html 「族群」というのが興味深いな。移住者の歴史的多層構造。そして、「台湾」が国民国家化してきたからこそ、出現するエスニック・イマジネーションね。『族群:現代台湾のエスニック・イマジネーシ…

コラム別に読む 人口と国家 白波瀬佐和子さんが選ぶ本 - 白波瀬佐和子(東京大学教授・社会学) BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト

http://book.asahi.com/reviews/column/2015112900001.html 個人と国家の「選択」における利益の対立。『人口の世界史』はおもしろそう。

燃える森に生きる 内田道雄 著 レビュー Book Bang −ブックバン−

www.bookbang.jp アサートNo473-04【投稿】【書評】『燃える森に生きる──インドネシア・スマトラ島 紙と油に消える熱帯林 メモ。インドネシアにおける森林破壊と、それに伴う地元住民への被害が取り上げられているらしい。パーム油用のアブラヤシや製紙用パ…

『森の探偵 無人カメラがとらえた日本の自然』人間社会に急接近する動物たち - HONZ

honz.jp だいたい、著者が誰か、読む前に分かった。 無人カメラで明らかにされる、人間社会に適応する動物たち。人間の活動前線が後退して、人間の活動範囲に、野生動物が入り、ニアミスしていると。道路を活発に利用する野生動物。人間の居住地域のすぐ隣が…

(書評)「プロパガンダ」史観の限界 - 擬似環境の向こう側

brighthelmer.hatenablog.com とりあえず、歴史の問題に「正解」とか、「真実」とか使う人間は、信用してはいけない。 有馬哲夫『歴史問題の正解』と清水潔『「南京事件」を調査せよ』を並べた書評。前者は、プロパガンダに関しては一次史料による研究を行っ…

どうしても手元に欲しかった本『失われたパリの復元 バルザックの時代の街を歩く』 - HONZ

honz.jp オスマン改造前のパリか。そりゃ、なかなか住みにくかっただろうな。60万都市の真ん中を流れる川が、どんな汚濁状況だったか。 一方で、オスマンの都市計画ほどの徹底的な改造が本当に必要だったのだろうか。

『プーチンの国 ある地方都市に暮らす人々の記録』地方にこそ、国の姿がある - HONZ

honz.jp だいたい、「国難」なんて言葉を使う奴は、プーチンの同類だよな。 地方における、多様なプーチン支持層。消極的支持派から労働者階級の支持者まで。これが、クリミア併合に始まる国際的緊張で、一気に変わると。ソ連崩壊と、それに伴う、社会崩壊の…

『科学捜査ケースファイル 難事件はいかにして解決されたか』凶悪犯罪と法科学の歴史200年 - HONZ

honz.jp 「あらゆる接触には痕跡が残る」か。 さまざまな科学捜査の手法の紹介。血痕の分析に、DNA鑑定、検死、蛆虫の生育速度からの分析などなど。いろいろとあるものだな。一方で、DNAの鑑定ミスで冤罪を引き起こしたりと、ヒューマンエラーの危険も。ある…

明治神宮と『変形菌』 - HONZ

honz.jp そういえば、粘菌って、実物を見たことないなあ。 粘菌こと、「変形菌」の美麗写真多数。写真集の紹介。 あと、ハシブトガラスを襲うオオワシがかっこいい。つーか、営巣中には、カラスに襲撃されるパターンが多いようだけど、守るものが無い時は、…

『子どもたちの階級闘争 ブロークン・ブリテンの無料託児所から』日常風景に投影された、世界の分断 - HONZ

honz.jp イギリスの「底辺」託児所から見た光景。かつては、下層白人が対象の託児所だったが、保守党政権による福祉予算の削減で、移民向けの英語教室に併設された託児所に。 そこに、元「底辺託児所」で育った子がティーンになって戻ってくる。移民と下層階…

『健康格差 不平等な世界への挑戦』 Fair society, healthy lives. - HONZ

honz.jp イギリスやアメリカの平均寿命の格差には、どん引きだな。たった数キロで別の国。 公衆衛生の専門家による、健康格差の問題の本。この立場だと、やはり、市場原理主義とは反対の立場になるな。いくつもの、格差がある。そのなかで、女性教育が大事と…

『モンゴル帝国誕生 チンギス・カンの都を掘る』 - HONZ

honz.jp チンギスの都跡とされるアウラガ遺跡の発掘成果の報告の本。 まあ、モンゴルの王族は、宮殿もテントだったようだから、固定施設が少ないのは当然かな。一方で、鉄関係の工房が大量に存在する。金から供給される鉄を利用した軽騎兵が肝だったという歴…

『戦場を歩いてきた カラー写真で読み解く戦場のリアル』ジャーナリストが見つめた戦地の日常 - HONZ

honz.jp なんというか、無謀な。いきなり、ムジャヒディンの事務所に突撃とか。そういう行動力がないと、戦場ジャーナリストにはなれないと。 戦地における「日常」の姿。常に戦闘が行われているわけではなく、そこにも、日常生活が存在する。とはいえ、イン…

巨象をあやつるSNS番長 『モディが変えるインド』 - HONZ

honz.jp うーん、どうなんだろう。ヒンズー至上主義とか、多くの面で亀裂も作っているように見えるが。着実に、国を荒らしているんじゃなかろうか。 自分でSNSやるような自己顕示欲の強い政治家をいまいち信用できない。

『アメリカを動かす「ホワイト・ワーキング・クラス」という人々』 - HONZ

honz.jp 「白人労働者階級」の「上」と「下」への不信か。エリートの政策を信用しない一方、自分たちで働いている誇りを言い立て、福祉に依存する下層階級を軽蔑する。そうなると、下層への低下は、精神的苦痛が大きいのだろうな。つーか、自分たちがよって…