東北歴史博物館『美しき東北の町並み:鳥のまなざし吉田初三郎の世界』

 東北歴史博物館で2013年に開かれた展覧会の図録。県立図書館で見かけて、借りてきた。


 大正広重を名乗った吉田初三郎の鳥瞰図のうち、東北の諸都市を描いた作品を集めている。原画と印刷折図、トレース図など。八戸市に別邸兼工房の「潮観荘」を建てたために、東北とはかなり縁が深い。各都市から、製作を依頼されている。
 地形のディフォルメぶりが印象的。あと、鉄道と縁が深い感じか。


 東北の諸地域を描いた作品を、戦前と戦後に分けて紹介している。東北に、いまいち土地勘がないので、いまいち、実際の土地をどうディフォルメしたのか、分からなくて、楽しみきれていないところがあるが。
 絵はがきなんかも手がけているのだな。この展示会では「金華山之図屏風」とか「金華山二十五勝景」なんていう作品も展示されたようだ。あとは、自伝「大正広重物語」とか、写真が紹介されている「南京城攻略戦跡図」なんてのも興味を惹かれる。


 東日本大震災の傷跡も。「志津川町鳥瞰図」の原画は、南三陸町立図書館の書庫に保管されていたが、建物ごと流失し、滅失。「女川港鳥瞰図」の原画は、女川町役場の応接室に掲げられていて、津波に遭遇。破損修復が行われたという。
 逆に、「金華山景勝交通鳥瞰図」原画は、震災の片付けの最中に、書庫から再発見されたり。